ゲリラ豪雨、台風、爆弾低気圧などなど、クルマを運転するうえでヒヤっとする状況が増えてきました。そんなときに無理に運転しないで済めばそれに越したことはないのですが、強い雨や風の中をやむをえず運転する場合に安全に走るコツをお話ししましょう。 雨の日は、路面が濡れているだけでもグリップが下がりますので、速度の上げすぎや急のつく操作に気をつけるのはもちろんですが、十分な車間、そして、予知運転が必要となります。

プロドライバーにとっては当たり前ですが、どんな条件、どんな速度であっても、起こりうる危険は常に想定し、何が起きても対処できるるように運転しています。その上で、さらに評価をする冷静さも必要です。

お客さまを乗せるような"サーキットタクシー"などでも、もちろん安全マージンをもってドライビングしているものです。なので、全開(正確には少し余裕を持っています)であっても話をしながら、ハイスピードのドライビングが可能なのです。

さて、一般道でグリップだけを考えた場合、雨の日は晴れの日の2〜3割程度スピードを落とすことでかなりのリスクを回避できるはずです。それでも突発的に起きる現象もあるのでそこを掘り下げていきましょう。



走行中、水たまりに入った際、タイヤの溝が排水しきれずに水膜の上にのってしまう状態です。タイヤが路面に接地できないためにグリップを失い、コントロールが不能となります。

但し、4輪すべてが浮いてしまうほどの水たまりは、そうはありませんので、以下を参考に落ち着いて対処しましょう。

ハイドロプレーニングが起きたら......

(1) ハンドルはそのまま(行きたい方向へむけたまま)固定。手応えがなくなったからといって急にステアリングを切ったり戻したりするとグリップ回復後にさらに不安定になるので注意しましょう。

(2) アクセルの踏み加減もほぼそのままをキープするか、徐々に緩めていきます(グリップ回復するまで)。水たまりからは1〜2秒後には脱出する場合がほとんどです。急にアクセルを踏むのは論外ですが、高速走行時などにアクセルペダルから足を完全に離してしまうと過度な前後の荷重変化が起き、グリップ回復後に不安定になりますので注意します。

あえて何もしない......かのようにすることが大事!

水たまり進入前と同じ操作をキープするか少し緩めるくらいの操作にとどめることが重要です。グリップを失ったときはビックリしますが、すぐあとにグリップが回復したときの危険にも対処する必要があります。

オーバースピードの場合、ハイドロプレーニングがきっかけで水たまりから出たあともスリップが止まらないことがあります。そんなときには車体姿勢が安定するまでブレーキを踏みましょう。

最近のクルマの横滑り制御機能はかなり優秀なので、路面が濡れているときは必ずONで走ることを忘れずに!

後編に続く......

(Text by Michiya Kasai)