厄介なのは、最近の高性能バッテリーは、何の前触れもなくバッテリー上がりを起こすこと。寿命の最後まで高い性能を発揮するぶん、予兆がわかりにくくなっているのです。
それだけに、トラブルを未然に防ぐには、定期的にバッテリーを交換しておくのが最善策です。交換の目安は、2年ごと。
そこで、今回もプロジェクトカーのAudi S4(2009年モデル)を神奈川県横浜市にある Audi S4の場合、バッテリーはラゲッジルームのフロアパネル下、スペアタイヤのさらに下に置かれています。これは、前後重量配分の最適化にも一役買っているはず。
ところで、バッテリー交換の作業後に、メカニックが専用テスターを取り出しました。何をしているのか尋ねると、「バッテリーのシリアルナンバーを登録しているんですよ」の答え。
これは、車両側にバッテリーマネージメントシステムが搭載されていて、新しいバッテリーのシリアルナンバーを登録することで、バッテリーの充放電状況の監視を再スタートさせるためでした。こうすることで、純正バッテリーのポテンシャルを最大に引き出し、バッテリー寿命を伸ばすことが可能になるそうです。
最後に車両の時計をセットして約1時間の作業は終了。バッテリー交換といっても、ただ載せ換えるだけではないんですね!
そしてもうひとつ、実は今回のメインイベントとなるのがブレーキパッドの交換です。
クルマには「走る」「曲がる」「止まる」の基本性能があり、そのすべてが優れているクルマは運転して楽しく、また、高い安心感をもたらします。スポーティなドライビングを好むドライバーなら、なおさら気になる部分でしょう。
その基本性能のうち「止まる」を支えているのがブレーキです。簡単にいえば、ブレーキは、ブレーキローターをブレーキパッドで挟み込むことによりクルマを止めるわけですが、距離を走るにつれ、このブレーキローターやブレーキパッドは摩耗します。摩耗が進むとブレーキの効きが悪くなり、また、ブレーキパッドの摩耗が限界を超えるとブレーキローターを傷つけてしまいます。
そのためAudiでは定期的な点検を勧めていますが、走行距離が多かったり、スポーツドライビングを楽しむ機会の多いユーザーの場合は摩耗が早いので、余裕を持って交換するのが安心です。
ちなみに、フロントのブレーキパッドには摩耗を知らせるセンサーがついていて、使用限界が近づくと警告灯が点灯します。一方、フロントに比べて摩耗が少ないリヤのブレーキパッドにはセンサーがありません。
ドライブ中に急に警告灯が点いてしまうと慌ててしまうでしょうから、そうなる前にあらかじめチェックし、必要なら交換しておくのがベスト!その際は、同時にリヤも交換しておきましょう。
なるほど、知らずに作業したら大変なことになりますね。正規ディーラーサービス工場にお願いしてよかった!
そして左下の写真がリア1輪用のブレーキパッド。左側が新品、右側が使用済みのパーツです。
最後にメカニックがテストドライブを行い、作業は終了です。
約1時間半の作業でしたが、メカニックのてきぱきとした動きを見ているのは実に楽しい時間でした。しかも、EPBの話のように、ブレーキ交換といえども、正規ディーラーサービス工場だからこそできる対応があるのを知ったのは大きな収穫でした。
すべての作業が終わったあと、さっそくAudi S4に乗ると、入庫前に比べてブレーキのタッチがしっかりとした印象です。
すべての作業が終わったあと、さっそくAudi S4に乗ると、入庫前に比べてブレーキのタッチがしっかりとした印象です。
新しいバッテリーの効果については、実のところわかりませんが、変化がわかりにくいからこそ、トラブルを未然に防ぐための備えが必要。新しいAudi純正バッテリーのおかげで、安心を手に入れられたのは確かです。
次回は、安心・快適なドライブに欠かせないエンジンオイル、ワイパー、タイヤの交換についてリポートします(2013年5月23日公開予定)。
どうぞお楽しみに!
(Text by Satoshi Ubukata)