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以前
実際に使ってみると、A1同様、よく停まる。外気温が高いときには停車中にエンジンが再スタートすることもあるが、こまめにエンジンを切ってくれるから、アイドリングストップを積極的にしてくれるという意味では本来の役割をきちんと果たしている。
ちなみに、エンジンの再始動は、マツダなど日本勢に比べると少し遅いが、A1よりもショックは小さく、さすがひとクラス上のクルマと感心。
ところで、このクルマにはスタートストップシステム以外にも新機能が搭載されている。それが「コースティングモード」だ。ふつう、走行中にアクセルをオフにすると、エンジンの燃料噴射がカットされてエンジンブレーキがかかる。だから少しずつスピードが落ちていく。ところが、このコースティングモードを有効にすると、エンジンとトランスミッションのつながりを切り離し、つまり、クラッチを切って惰力走行(=コースティング)する。エンジンブレーキがかからないのでスピードの落ちがゆっくりになるのだ。
コースティングモードをオン(アクティブ)にして走ってみる。コースティング中は、DISの瞬間燃費表示に「Coasting mode」の文字が映し出される。街中でも意外にコースティングしていることが多いことがわかる。
当然、コースティングモードではアクセルオフでエンジンブレーキがかからないから、スピードを落としたいときにはブレーキを踏む必要がある。ただし、コースティングモードはDレンジのみに対応しているから、意図的にエンジンブレーキを使いたければ、Sモードを選んだり、シフトレバーを左に倒してマニュアルモードにしたり、パドルシフト装着車ならパドルを操作してマニュアルモードにすることで、それなりの減速が得られる。また、下り坂ではマニュアルモードで低いギアを選んでおけば、強めのエンジンブレーキが得られるのはいままでどおりだ。
なお、コースティング中にブレーキやアクセルペダルを踏むと、即座にクラッチがつながりコースティングは解除になる。クラッチの断続にともなうギクシャクした動きなどは認められなかった。
ところで、気になるのは、「コースティングすることで燃費は向上するのか?」ということ。コースティング中はエンジンはアイドリングしている状態で、そのぶん燃料を消費する。燃料カットによってエンジンブレーキがかかっている状況では燃焼の消費はゼロだ。たとえば、先の信号が赤で、ある程度の距離を走ったのちに停止することがわかっていれば燃料カットによってエンジンブレーキをかけたほうが燃料消費は少なそうだ。
一方、高速道路などでスピード調節をする際、アクセルをオフしたところでスピードは上げたくないが、エンジンブレーキがかかるとムダだよなぁ、という状況はよくある。つまり、状況によってコースティングが有利な場合と不利な場合があると思う。トータルでどの程度の燃費向上が見込まれるのか? アウディからコースティングモードを採用する根拠となったデータが示されるとうれしいのだが......。
(Text by Satoshi Ubukata)