EUでは2011年以降に発売された新型車には装着が義務づけられているが、日本の保安基準に適合しないことから、日本に正規輸入されるAudi車ではDRLの機能を無効にし、ポジショニングライトなどとして使われてきた経緯がある。
このDRLが、2016年10月7日の保安基準改正によって装着が認められるようになった。正確にはDRLの基準が新たに設けられたのだ。それまでは「その他の灯火」という扱いで、その光度が300カンデラ以下の場合にかぎり装着が認められていた。
新設されたDRLの基準は、国連の「車両等の型式認定相互承認協定」(以下、相互協定)に基づく規則(以下、協定規則)で採択された「デイタイムランニングランプ(昼間走行灯)に係る協定規則(第87号)」(以下、R87)に則ったもの。R87ではDRLは白色の光で、その光度が400〜1200カンデラと定められており、その他、細かい規定に適合したDRLには国連欧州経済委員会(UNECE)の「車両等の型式認定相互承認協定に基づく型式認証マーク」(通称、Eマーク)が与えられる。
たとえば、マイナーチェンジしたAudi A3の日本仕様をチェックしてみよう。下の写真はLEDヘッドライトに書かれた認証マーク。丸の中の「E9」はスペインで認証されたことを表す。ちなみにドイツはE1、日本はE43だ。
そして、「00RL」の文字列が、このヘッドライトにはR87に適合したDRLが備わることを示している。
これにより、R87の認証マークが記されたAudi A3のDRLは、新設された日本の保安基準を満たしており、専門ショップでのいわゆる"コーディング"や「PLUG DRL!」などによって有効化しても車検に対応するものと考えられる。
なお、日本の保安基準ではDRLの光度は1440カンデラ以下という規定があるのに対し、R87の規定は400〜1200カンデラと、日本の保安基準よりも範囲が狭い。
気になるのはAudi正規ディーラーの対応。これまでは保安基準を満たさないということで正規ディーラーに入庫できなかったり、入庫できてもDRLが無効化されるというケースが見られた。
今回の保安基準の改正にともない、正規ディーラーの対応はどうなるのか? アウディ ジャパンからは「既に販売済みの車両のデイタイム ランニング ライトで、お客様がご自身で有効化されたものについては、弊社としては、認可未取得車両への改造と理解しておりますので、これまで通り『無効化(正規仕様に戻す)』して車検整備をすることになります」(アウディ ジャパン 広報部)という回答があった。
一方、今後輸入されるAudi車については「Audiでも2017年の夏から各車種に順次搭載予定です」(アウディ ジャパン 広報部)とのことで、街を走るAudiのフロントマスクがこれまで以上に際だつようになるのは間違いない。
(Text by Satoshi Ubukata)