発表前にカタログが流出して話題を呼んだ(!?)アウディRS 5。その注目のモデルの概要が明らかになった。2010年3月のジュネーブショーがワールドプレミアになる。
アウディ車のカスタマイズや、RSモデルの製作を手がけるアウディの子会社が「quattro GmbH(クワトロ社)」。そのクワトロ社が世に送り出す最新モデルが「アウディRS 5」だ。 Sモデルのさらに上を行くRSモデルだけに、その内容はかなり過激だ。


標準モデルとの違いがひとめでわかるRS 5のエクステリア。 フロントには巨大なエアインテークを収めたバンパーや、ハニカムメッシュグリルのシングルフレームグリルを備え、ボンネット下の収まるエンジンのハイパフォーマンスを予感させる。

タイヤは265/35R19が標準で、オプションで275/30R20サイズも選択可能。フロントブレーキには8ポッドのブレーキキャリパーが採用され、オプションでセラミックのブレーキディスクを選ぶことができる。専用のスポーツサスペンションは標準モデルに比べて20mmのローダウンとなる。

リアビューにもRS 5らしい演出が見られ、ポップアップ式のリアウイングに加えて、バンパーに組み込まれた楕円形のエギゾーストパイプやリアディフューザーがスポーティさを際だたせている。
  
インテリアにも趣向が凝らされている。たとえばメーター周囲にピアノブラックのパネルを施すとともに、デコラティブパネルにカーボンパネルを用いることなどにより、標準モデルをはるかにうわまわる高級感とスポーティさを手に入れることになった。
注目のエンジンは、4.2L V8 FSIを搭載。自然吸気ながら、S5を96ps!も上回る450psを発揮。これはR8に搭載される同排気量のV8に比べても30psのアドバンテージ。トランスミッションは7段Sトロニックが組み合わされる。
もうひとつ注目したいのが、RS 5のクワトロだ。これまでアウディは、縦置きエンジン用のクワトロにトルセンタイプのセルフロッキングセンターディファレンシャルを用いてきた。しかし、RS 5では、クラウンギアを使ったセルフロッキングディファレンシャルに変更して小型・軽量化を図っている。通常走行時は駆動力を前40:後60に配分。走行状況の変化にあわせて、前70:後30〜前15:後85に変化させることが可能だ。

さらに、"エレクトロニック・トルク・ベクタリング"が4輪の駆動力を制御。たとえばコーナリング中、内輪を減速することで空転を防ぐと、これが結果的にコーナリングを助ける方向のヨーモーメント(クルマを左右に回転させる力)を生み出す。加えて、リアスポーツディファレンシャルがリアの駆動力を最適に配分することで、強大なトラクションと卓越したハンドリングをもたらす。S4やS5同様、リアスポーツディファレンシャルの効果は"アウディドライブセレクト"で調整が可能である。

デザインに加えて、エンジン、クワトロなど、あらゆる部分をスポーティに磨き抜いたRS 5。いまからちょうど30年前、アウディクワトロがデビューしたジュネーブショーを飾るのに、まさにふさわしいスポーツカーの誕生である。

(Text by S.UBUKATA)