2014年5月9日、Audi AGは世界初のレーザーハイビーム搭載の量産車「Audi R8 LMX」を発表。世界99台限定生産のこのモデルは、今夏より欧州でのデリバリーが開始される。 一見して標準のAudi R8とは異なる特別な雰囲気を放つAudi R8 LMX。固定式のリヤウイングをはじめ、サイドブレード、フロントスポイラーリップ、エンジンコンパートメントカバー、リヤディフューザー、ドアミラーカバーといった部分にCFRP(カーボン)を使い、スポーティな印象を強めている。


ファインナッパレザーのセミバケットシートには、セパンブルーのダイヤモンドステッチが施されるとともに、アルカンターラのヘッドライニングやファインナッパレザーのドアトリム、カーボンのパネルなどがエクスクルーシブな雰囲気を盛り上げている。
パワートレインは、5.2L V10と7速Sトロニックの組み合わせだが、エンジンは標準のV10よりも45psプラスの570psにパワーアップ。最大トルクも10Nmプラスの540Nmとなり、0-100km/h加速は3.4秒、最高速は320km/hをマークする。

そんなAudi R8 LMXの最大の特徴は、量産車としては世界で初めてレーザーハイビームを搭載したことだ。


60km/h以上で動作するレーザースポットは、5500ケルビンの白色光で、LEDハイビームの2倍の距離を明るく照らす。これにより、LEDハイビームを補完し、高速走行時の視認性と安全性を確保する。車載カメラにより、他の走行車両を認識して、自動的に配光パターンを調節する機構も備えている。
Audiは2014年のルマン24時間に参戦するAudi R18 e-tron quattroに、LEDヘッドライトとレーザーハイビームとの組み合わせを搭載し、レースの現場で新技術をテストする。

Audi AGの研究開発担当取締役であるDr.ハッケンベルクは「Audiは、最も重要な24時間レースを長年席捲してきました。優れたパワートレイン技術に加え、ライティングで最大の照射範囲を得ることはドライバーにとって大きなアドバンテージになり、特に夜間のドライブにおいて私たちの成功に重要な要素となります。レーザーヘッドライトをAudi R8 LMXにも搭載することは、ライティ ング技術における私たちの優位性を示すものです。この技術がお客様にもたらす安全性は、まさにVorsprung durch Technik(技術による先進)を体現しています」と述べている。


このスペシャルなAudi R8、気になる価格は21万ユーロ(=2940万円)から。

(Text by Satoshi Ubukata)