「Audiの強みはスポーツ性、軽量デザイン、そして、quattroです。Audi prologueでは、私たちはこのノウハウを新しい形で表現しています。すなわち、ラグジュアリーセグメントのモデルに最高のスポーツ性を融合させました。チームはエクステリア、インテリアのデザインともに新しいアプローチを行いました」とリヒテは語る。
Audi prologueは、ラグジュアリーセグメントの2ドアクーペで、全長5.10×全幅1.95×全高1.39mの堂々たるボディサイズの持ち主。これが「Audi A9」に進化するのではないかと噂されており、今後のAudiデザインを占ううえで、このAudi prologueは重要な役割を果たすことになる。
たとえば、エクステリア。フォーリングスが組み込まれたシングルフレームグリルは、現行モデルに比べて低く幅広いデザインに変わっている。シャープな形状のヘッドライトにはマトリクス・レーザーテクノロジーが搭載され、特徴的なフロントエアインテークとともに、パワフルなフロントマスクをつくり上げている。
サイドビューの特徴は、前後フェンダーの形状。1980年に登場したオリジナルAudi quattroのブリスターフェンダーを彷彿とさせるデザインが、フルタイム4WDのquattroを視覚的に表現しているのだという。また、ドアの下部からリアに向かう窪みは、フロントのエアインテークに対応するモチーフだ。
ちなみに、ドアにはドアハンドルが見あたらないが、ドアミラーに組み込まれたタッチセンサーに触れることで、ドアを開けることができるそうだ。
リヤビューでは、車両の横幅いっぱいに伸びたLEDテールライトが、これまでのAudiとは異なる印象を放っている。ライトは3D構造になっており、点灯時にはよりダイナミックな表情を見せてくれる。
リヤバンパー下部に配置されるディフューザーには左右2つのインレットが設けられ、ここにテールパイプが収められる。
一方、インテリアは、ラップアラウンドデザインにより、開放的な雰囲気を醸し出している。アウディ バーチャルコックピットと呼ばれるデジタルのメーターパネルに加えて、インストゥルメントパネルには、ステアリングの左右、そして、助手席前の3カ所にディスプレイを配置。また、センターコンソールにはタッチパネルが置かれており、空調の操作や、手書き文字入力、車両のセッティングなどに際に使われる。
Audi prologueには、605psの4.0 TFSIエンジンと8速ティプトロニック、そして、quattroが組み合わされ、0-100km/h加速3.7秒を達成。サスペンションは新開発の前後5リンクで、アダプティブ エアサスペンションスポーツが組み合わされる。さらに、4輪操舵機能により、低速でのより俊敏なハンドリングと、高速での安定性を両立する。
興味深いのは、Audi prologueの電装系。48Vシステムを採用することで、たとえば強力なスターターモーターがマイルドハイブリッド機能を提供、8.6L/100kmという燃費に貢献している。
このように、デザインと技術の両面で次世代のAudiを垣間見せるAudi prologue。そのエッセンスが量産モデルにどう活かされるのか、今後登場するニューモデルが楽しみだ。
(Text by Satoshi Ubukata)