Audiは実際に走行可能な電気自動車のコンセプトカー「Audi e-tron Vision Gran Turismo」を製作し、フォーミュラEにおいてレーシングタクシーを行う。 「Audi e-tron Vision Gran Turismo」は、プレイステーションのゲーム「グランツーリスモ」の発売15周年を記念して開催された「Vision Gran Turismoコンテスト」のためにAudiのデザイナーが作成したもの。

他の自動車メーカーもこのコンテストのためにフルスケールのコンセプトカーを試作しているが、サーキット走行が可能なクルマとして登場したのはAudi e-tron Vision Gran Turismoが初めてで、バーチャルなグランツーリスモのなかだけでなく、リアルな世界でも走行が体験できる。


このクルマをデザインするにあたっては、IMSA-GTOレースシリーズに挑んだ伝説の「Audi 90 quattro IMSA GTO」をイメージしたという。

さらに、「バーチャルカーのデザインには大きな自由度があり、現実的ではないコンセプトを採用することもできますが、まったく架空のモデルにはしたくないと思いました。私たちが目指したのは、完全に実走行できるクルマでした。Audi e-tron Vision Gran Turismoは、Audiの思い描くeモビリティが、非常にエモーショナルなものであることを示しています。このクルマは、ボディカラーのペイントを反転させたシングルフレームグリルをはじめとして、新しいe-tronモデルの特徴となっている数多くの新しいデザイン言語を構成するエレメントを採用しています」と、Audiのチーフデザイナーであるマーク・リヒテ氏が語っている。


Audi e-tron Vision Gran Turismoは、将来登場する「Audi e-tron」に搭載予定のコンポーネントを採用。フロント1基、リヤ2基の計3基のモーターによってquattroを構成する。システム出力は600kW(815ps)で、車両重量は1450kg。0-100km/h加速は2.5秒を切るという。


AudiはこのAudi e-tron Vision Gran Turismoを、ヨーロッパで行われるフォーミュラEなどさまざまなイベントでレーシングタクシーとして走らせ、同乗するゲストにAudiのeモビリティを体験してもらう。なお、ドライバーとしては、ルマンウイナーのリナルド・カペロや元DTMドライバーのラヘル・フレイを予定している。

日本でもその姿を見たいものだ。

(Text by Satoshi Ubukata)