コンパクトSUV「Audi Q2」のカタログモデルであり、主力グレードとなる「Audi Q2 1.0 TFSI sport」をチェックする。 Qファミリーのエントリーモデルとして、日本でも2017年4月にデビューした「Audi Q2」。その初回限定車「Audi Q2 1st edition」に続き、レギュラーモデルの「Audi Q2 1.0 TFSI sport」に試乗することができた。

クルマ全体の話は
Audi Q2には「Audi Q2 1.0 TFSI」、「Audi Q2 1.0 TFSI sport」、「Audi Q2 1.4 TFSI cylinder on demand sport」の3グレードがカタログモデルとして用意されている。"ラインコンセプト"を採用するようになったAudiでは、名前の最後に「sport」がつくグレードは、何も付かないスタンダード仕様に比べて、よりスポーティな内外装に仕上げられる。また、現時点では用意されていないが、人気の「S lineパッケージ」は原則としてsportにのみ追加が可能である。

Audi Q2 1.0 TFSIとAudi Q2 1.0 TFSI sportを比べると、後者はフルペイントの前後バンパーやコントラストカラーの"ブレード"、1インチアップの215/55R17タイヤなどが装着されることで、よりスポーティな印象に。一方、インテリアもデコラティブパネルがマットブラッシュトアルミになったり、スポーツシートが装着されるなどして、より上質な雰囲気に仕上げられている。


さらに、sportには、LEDヘッドライト&ダイナミックターンインジケーター付きLEDテールライト、オートエアコン、アダプティブクルーズコントロール&アウディ プレセンスフロント、アドバンストキーシステムといった装備が標準装着され、より魅力的な内容となるだけに、販売の主力がsportになるというのも納得がいく。


というわけで、試乗が楽しみだったAudi Q2 1.0 TFSI sportなのだが、結論から先にいえば、"期待どおりの仕上がり"であった。

搭載される1.0 TFSIは、Audi A1よりも21ps、40Nm強力な116ps、200Nmの実力の持ち主。A1 1.0 TFSIよりも190kg重い1310kgのAudi Q2だが、低回転から十分なトルクを発揮し、発進も軽やかだ。実用域でトルクを厚くした特性のおかげで、加減速を繰り返す街中でも、もたつく感じはしない。

一方、小排気量エンジンだけに、アクセルペダルを思い切り踏み込んでも鋭い加速は見られないが、それでも追い越しなどの場面でストレスを感じることはない。その加速性能だけを見れば、1.0 TFSIでも十分と断言できる。


サスペンションのチューニングも、バランスの良い仕上がりだった。S lineパッケージを装着するAudi Q2 1st editionが、やや硬めの乗り心地で、路面のショックも拾いがちだったのに対し、このAudi Q2 1.0 TFSI sportは、マイルドな乗り心地を示しながら、十分なフラット感を確保。目地段差を越えたときのショックも巧みにいなすなど、実に快適なのだ。

軽くワインディングロードを走る場面もあったが、しなやかに動くサスペンションとクイックなステアリングのおかげで運転は楽しい。Audi A3に比べて少し高めのアイポイントや開放感あるコックピットにより、運転もしやすかった。


一方、気になったのがエンジンのノイズと振動。1.4L直列4気筒ターボの1.4 TFSIに対して、1.0L直列3気筒ターボの1.0 TFSIは、2000rpm以下では3気筒エンジン特有のノイズと振動がそれなりにあり、ほぼこの回転域でカバーする街中では、常にそれを感じながら走ることになるのだ。

神経質かもしれないが、個人的には少し不快に思える1.0 TFSIエンジンのノイズと振動。クルマ自体の仕上がりはとても気に入っているだけに、もし自分で買うなら「Audi Q2 1.4 TFSI sportかな?」と思うのだが(まだ試乗できてないが)、このあたりは人によって感じ方が異なるし、慣れの問題もあるので、Audi Q2の購入を考えている人は、ぜひ実際に試乗して、自分にあった1台を見つけ出してほしい。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Satoshi Ubukata, Audi Japan)