下の写真はS lineのものだが、インテリアはシンプルでスタイリッシュな仕上がり。注目はセンタークラスターに配置される"2階建て"のタッチパネル。時間の関係で使い倒すことはできなかったが、これまでのMMIを知っていれば、マニュアルを読まなくても直感的に操作ができそうだ。
面白いのがそのタッチ方法。アイコンにただ触れるのではなく、アイコンを押してはじめて操作が完了する。その際、指先には音や振動でフィードバックがあるので、まるでハードウェアキーに触れているようだ。
後席の写真もS lineのものだが、身長168cmの私の場合は、ヘッドルームもニールームも十分なスペースが確保される。なんとか足を組むことも可能で、4ドアクーペといえども、大人4人が快適に移動できる空間になっている。
さっそく走り出してみると、最高出力250kW(340ps)、最大トルク500Nm(51.0kgm)の3.0 TFSIは、アクセルペダルを軽く踏むだけでも低回転から豊かなトルクを発揮し、1500rpm手前あたりから次第に力強さを増していく。一方、やや大きくアクセルペダルを踏むと、俄然活発になり、高回転までリニアな加速が続く。
55km/h以上でアクセルをオフすると、条件が整えばエンジンが停止し、クルマは惰力走行(コースティング)を行う。加速が必要になったところでアクセルペダルを踏むと、エンジンは即座に再スタート。このあとSトロニックのクラッチがつながるまでに一瞬タイムラグがあるが、一連の動きは実にスムーズだ。
クルマが減速して停止に向かう際には、完全停止の前に早めにエンジンがストップ。そして、発進時の再始動も、従来のスタート/ストップシステムとは比較にならないほど素早くスムーズ。いずれも、48V電源とマイルドハイブリッドシステムの恩恵である。
走りに関しては、直進安定性が優れている一方、ステアリング操作に対してはクイックなレスポンスを示す。Rの小さいコーナーが連続するような山道でも軽快に向きを変え、アンダーステアも軽い。可変ギヤレシオのダイナミックステアリングと4輪操舵を組み合わせたダイナミック オールホイールステアリングの威力は絶大だ。Uターンをするような場面でも思いのほか小回りが効き、走り始めてしまえば全長が5m強あることを忘れてしまうほどだ。
ダンピングコントロールサスペンションを装着することで、乗り心地はフラットかつマイルド。255/40R20サイズのタイヤを履くため、路面によってはいわゆる"バネ下重"を感じることもあるが、おおむね快適といえるだろう。
ということで、新型Audi A7 Sportbackの第一印象は期待以上で、とても魅力的な仕上がりである。このファーストインプレッションが本物かどうか、近いうちに試乗車をロングドライブに連れ出して、チェックしたいと思う。
(Text by Satoshi Ubukata)