2012年夏、日本に導入が予定されているアウディA1スポーツバックを一足先にスペインで試乗。その完成度は? さっそく運転......でも、その前に、アウディA1スポーツバックのエンジンバリエーションについて確認しておこう。

ディーゼルはひとまず置いといて(笑)、ガソリンエンジンは次の4種類が用意される。

1.2 TFSI......86ps/16.3kgm
1.4 TFSI......122ps/20.4kgm
1.4 TFSI......140ps/25.5kgm
1.4 TFSI......185ps/25.5kgm

このうち、122psの1.4 TFSI、すなわち、1.4L直噴ターボエンジンが、現在日本で販売されているアウディA1(3ドア)に搭載されているもので、アウディA1スポーツバックでもこのエンジンが日本に導入される予定だという。

185psの1.4 TFSIは、ターボとスーパーチャージャーを同時に装着した、いわゆる"ツインチャージャー"エンジンだ。

一方、140psの1.4 TFSIは新開発のエンジンで、122psの1.4 TFSIよりも大型のターボを装着し、過給圧を高めることで最大トルクを25%アップしている。日本への導入は、現在検討中とのことだ。

さて、いざ試乗という段になって問題発生! 日本に導入予定の122ps版1.4 TFSI搭載車が試乗車として用意されていなかったのだ。まあ、ないものはしようがない(笑) ということで、急遽作戦を変更し、140ps版1.4 TFSI搭載車を中心に試乗することにした。


"サモアオレンジ"の試乗車は、装備充実の「アンビション」という仕様。現在日本で販売されているA1なら、スポーツパッケージ装着車に相当するものだ。16インチタイヤやフォグライト、スポーツシート、そして、スポーツサスペンションなどが標準になる。ちなみに、今回の試乗車には215/40R17のオプションタイヤとアルミホイールが装着されていた。トランスミッションは6速MTと7速Sトロニックが選べたが、もちろん連れ出したのはSトロニック!

座り慣れたスポーツシートに身をゆだねると、そこには3ドアモデルと変わらない眺めが広がっている。A1オーナーの僕には見慣れた風景で、正直、新鮮さはまったくない。

とにかく走り出すと、すぐに乗り心地の良さに気づく。ただし、これは十分予想できた。というのも、休止しているかどうかを知るにはは、DIS(オンボードコンピューター)の表示を切り替え、「4-cyl.mode」と「2-cyl..mode」をチェックするしかない。驚いたことに、一般道を走行しているときでも、頻繁に2気筒休止に切り替わっていて、システムの完成度の高さに舌を巻いた。
というわけで、使い勝手の良さとともに、エンジンの進化やサスペンションの熟成がうれしいA1スポーツバック。取り回しの良いコンパクトなボディとスタイリッシュなインテリア、高性能・低燃費のパワートレイン、そして、軽快な走りを手に入れたいと思っている方で、後席に人を乗せる機会が多いなら、このA1スポーツバックは格好の選択肢になるはずだ。

気になるのは値段ということになるが、僕個人としては、新開発の140psエンジンが日本に導入されるなら、所有している3ドアから乗り換えたいというのがいまの気持ちだ。もちろん、現在の3ドアと同じ122psでも、このA1スポーツバックを軽快に走らせることは可能に違いない。

A1スポーツバックの登場を心待ちにしていた人にとって、必ずや期待に応えるモデルである......それが僕の結論だ。


(Text by Satoshi Ubukata)