13日15時に決勝がスタートすると、ポルシェとAudiの6台が例年以上の高速バトルを繰り広げる。
アクシデントやトラブルが命取りになる展開で、8号車(以下#8)をドライブしていたロイック・デュバルが、レース序盤にインディアナポリスで遅いマシーンをパスしようとしていたときにGTEクラスのマシーンに追突され、その弾みでガードレールにクラッシュ。修復のために4分をロスしてしまう。
一方のポルシェも#18がミュルサンヌでクラッシュし、優勝争いから脱落。残る4台が夜のルマンで激しいトップ争いを続けることになった。
序盤にパンクに見舞われた7号車は、その後は順調に周回を重ねて朝を迎える。ところが朝7時前、リヤカウルが外れるというトラブルによりピットインを余儀なくされ約7分、2周をロス。優勝から遠のいてしまう。
そうなると頼みの綱は9号車となるが、ハイブリッドシステムにトラブルが発生し順位を落とし、さらにゴール3時間前に同じ原因でドライブシャフトの交換が必要となり17分を失う結果となった。
一方、#19のポルシェはほとんどトラブルもなく周回を重ね、Audiの勝利を阻む。ポルシェのルマン優勝は1998年以来の17回目。2位も#17のポルシェが獲得。Audiは3位に#7が入り、なんとか表彰台に立つことができた。
レース結果は以下のとおり。
1: ヒュルケンベルグ / バンバー / タンディ (#19 ポルシェ) 395 laps
2: ベルンハルド / ウエーバー / ハートレー (#17 ポルシェ) -1 lap
3: ファスラー / ロッテラー / トレルイエ (#7 Audi R18 e-tron quattro) -2 laps
4: ディ グラッシ / デュバル / ジャービス (#8 Audi R18 e-tron quattro) -3 laps
5: デュマ/ ジャニ / リーブ (#18 ポルシェ) -4 laps
6: ブルツ/ サラザン / コンウェイ (#2 トヨタ) -8 laps
7: アルバカーキー / ボナノミ / ラスト (#9 Audi R18 e-tron quattro) -8 laps
レース後、Audi MotorsportのDr. ウォルフガング・ウルリッヒ代表は「Audi R18 e-tron quattroは、3台とも優勝を獲得するに十分な速さを持っていたことは紛れもない事実です。しかし、不幸にもそれぞれのマシーンに深刻な事態が発生してしまいました。ポルシェのような強力なライバルを相手に闘っているときは、予定外のピットインによる遅れを取り戻すことは非常に困難です。確かに望んだ結果を得られなかったことは残念ですが、スポーツの世界では負けることもあります。今回はわれわれの実力を存分に発揮することは叶いませんでした。レースウイークだけでなく、それまでの数カ月間に渡ってハードワークをこなしてくれたすべてのスタッフにとても感謝しています」と語った。
次回のWECは8月30日にドイツのニュルブルクリンクで開催される。
(Text by Satoshi Ubukata)