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1年ぶりに富士スピードウェイに帰ってきたWEC。今シーズン負け知らずのAudiは、ここ富士スピードウェイでマニュファクチュアラーズ・タイトルを決めようと意気込んでいた。
ところが、18日午前の公式練習で、#2を駆るロイック・デュバルがLMGTEのマシーンと絡んでクラッシュ。マシーンの右リヤを大きく破損させてしまう。万事休すと思われたが、メカニックの必死の作業で午後の公式練習で復帰、トップタイムを叩き出した。Audi R18 e-tron quattroの優れた修復性を見せつけられた瞬間だった。
翌19日には予選が行われた。順位はドライバー2名のベスト&セカンドベストの平均で決まり、#1はアンドレ・ロッテラーとブノワ・トレルイエが、#2はロイック・デュバルとトム・クリステンセンが予選を担当している。富士スピードウェイをよく知る4人が、タイムアタックを任されたというわけだ。
25分間の予選では、#1のロッテラー/トレルイエが平均1分26秒57をマークしてポールポジションを手に入れた。今シーズン、Audiがポールポジションを獲得するのは5回目のこと。
一方、#2のデュバル/クリステンセンは、前日のクラッシュにより1回分の公式練習をふいにし、予選用のセッティングが詰められなかったことから、予選順位は4位に終わった。
2位は#8 トヨタ(デイヴィドソン/ブエミ/サラザン組)で1分26秒755。#7 トヨタ(ヴルツ/ラピエール/中嶋組)が3位に着けた。
決勝は20日11時にスタート。予選2番手の#8のトヨタは、規定時間までにピットアウトできず、ピットからのスタートとなった。
レースが再開されたのは13時35分。セーフティカーの先導により、周回を重ねることになるが、トップを走行していた#1がエンジン吸気系のトラブルに見舞われピットストップを繰り返す。幸い、セーフティカーランの最中だったため、周回遅れは免れたものの、大きく順位を落としてしまう。
セーフティカーラン終了後に挽回するばずだったが......。
13時52分に再び赤旗で中断。天候の回復を待つことになる。
このような状況下で、途中、ピットストップをしなかった#7のトヨタが優勝、これに続いた#2のAudiが2位となった。
あっけない幕切れにチームも観客も戸惑うばかりだが、劣悪なコンディションがもとで事故が起こることを考えれば、やむを得ない措置だろう。
次戦は11月9日開催の上海。富士の悪天候を吹き飛ばすような、爽やかな戦いを見せてほしい。
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Audi Sport)