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3台のAudi R18 e-tron quattroで13度目の優勝に挑んだAudi。その道のりは険しいものだった。WEC第3戦として位置づけられているルマン24時間レース。2014年シーズンは第1戦のシルバーストーン、第2戦のスパともにトヨタTS040に優勝を奪い、6月上旬のルマンのテストディでもTS040の速さが目立つ結果となっていた。
そして、迎えた決勝日の14日。15時、ドライコンディションでレースはスタートした。
スタート後、#7のトヨタがトップをキープする一方、5番手スタート、#2を駆るアンドレ・ロッテラーが2位に浮上。さらに、#3のマルコ・ボナノミが3位まで追い上げるなど、幸先のいい幕開けとなった。
ところが、スタートから1時間20分が経過したあたりから雨が降り始め、瞬く間に土砂降りに。これに伴いLMP2クラスのマシーンがクラッシュ、セーフティカーが導入された。
そんななか、#8のトヨタがユノディエールでスピンし、GTEクラスのフェラーリと#3のAudi R18を巻き込んでしまう。これにより、#3は大破しレース早々にリタイヤ。一方の#8はなんとかピットに戻るが、修復作業のために大きく順位を落とした。
その後、しばらくは#7のトヨタ、#20のポルシェ、#2のAudi、#1のAudiの順で周回を重ねていく展開に。
その後、しばらくは#7のトヨタ、#20のポルシェ、#2のAudi、#1のAudiの順で周回を重ねていく展開に。
波乱が起きたのは、レース開始から14時間が経とうとしていた5時前のこと。トップを走っていた#7のトヨタがアルナージュを過ぎたあたりで突然ストップ。電気系のトラブルが発生したとのことだが、マシーンはピットに戻ることができず、そのままリタイヤとなった。
これにより、#2のAudiがトップに躍り出るとともに、2位に#20のポルシェ、3位に#1のAudiがそれぞれポジションアップ。そして、6時過ぎには#1のAudiが#20のポルシェをかわし、1-2体制を築くことに成功した。
このままリードを続けるかと思われた矢先、トップ走行中の#2のAudiが予定外のピットストップ、マシーンをピットの中に入れる。ターボチャージャーにトラブルが発生したのだ。その交換に約24分を要することになり、この間、#1のAudiがトップに躍り出、また、#20が2位に浮上。#2のAudiは3位でコースに戻るが、2位とは2ラップの差がついてしまった。
ここから#2の猛追が始まった。ラップタイムで3〜5秒上回る#2のAudiは、#20のポルシェにプレッシャーをかけ、周回を重ねるごとにその差を詰めていった。ゴール前には2位に浮上できる計算だ。1-2フィニッシュも夢ではない。
ところが、今度は#1のAudiをトラブルが襲う。#2同様、ターボチャージャーの交換を強いられ、約18分のロス。これで#20のポルシェがトップ、#2のAudiが2位となる。
これでさらに奮起した#2のロッテラーはトップの#20のポルシェを追い詰め、スタートから22時間目、340周目にトップを奪還した。さらに、ほどなくして#20のポルシェがユノディエール上でスローダウン。マシーンはピットにたどり着いたものの、再度コースに戻ることはなかった。これにより、#1のAudiが2位に返り咲き、レースはAudiの1-2フィニッシュで幕を閉じることになった。Audiの総合優勝はこれで13回となった。
[第82回ルマン24時間耐久レース結果]
1 #2 Audi R18 e-tron quattro 379周
2 #1 Audi R18 e-tron quattro 376周
3 #8 Toyota TS040 hybrid 374周
10 #14 Porsche 919 Hybrid 348周
数々のドラマを生んだ第82回ルマン24時間レース。そんななか、トヨタ、ポルシェとの厳しい戦いを勝ち抜いたAudiに惜しみない賛辞を送りたい。
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Audi, Porsche, Toyota)