アウディ初のハイブリッドレーシングカーがアウディR18 e-tron クワトロだ。モーターを利用するということで名前に「e-tron」が含まれているが、それ以上に気になるのが「クワトロ」の文字。そう、アウディの新しいLMP1マシーンは4WDなのだ!
ただし、市販車のクワトロとは構造が大きく異なる。アウディR18 e-tron クワトロは、運転席背後に搭載される3.7L TDIエンジンによってリアアクスルを駆動。ちなみにそのスペックは、最高出力510ps以上、最大トルクは850Nm(86.7kgm)越えだ。
一方、フロントアクスルを駆動するために75kWのモーターが2個搭載され、減速時には運動エネルギーを電気として回収し、加速時には電気でモーターを回すことで燃費向上を図る。つまり、前後アクスルには機械的なつながりはなく、いわゆるe-4WDという構造を採用しているのだ。
ハイブリッドカーには大型のバッテリーが必要だが、アウディR18 e-tron クワトロではバッテリーの代わりにフライホイールを搭載している。電気エネルギーはフライホイールの回転に変換されて蓄えられ、必要に応じてふたたび電気として取り出して使われる。
アウディR18 ultraは、アウディR18 e-tron クワトロからハイブリッドシステムを外したバージョンといえる。2011年のアウディR18 TDIに比べて空力特性が改善され、またさらなる軽量化により戦闘力が高められた。
2012年モデルのアウディR18 e-tron クワトロおよびアウディR18 ultraのレースデビューは2012年5月開催のスパ6時間になる予定。その後、ルマンのテストデイ(6月3日)、ルマン本戦(6月16日〜17日)を走り、8月以降は各1台ずつがFIA WECシリーズでイギリス、ブラジル、バーレーン、日本!、中国を転戦する。日本戦は10月14日の富士スピードウェイ。
日本上陸がいまから楽しみだが、ぜひその前にルマンの歴史に新しい1ページを刻んでほしいものだ。
(Text by Satoshi Ubukata)