2012年3月17日にアメリカ・フロリダ州で開催された「セブリング12時間」で見事1-2フィニッシュを決めたアウディのドライバーが、レースについてのコメントを寄せている。 予選で上位3位までを独占したアウディR18 TDIは、多数のエントリーとそれにともなう事故など悪条件に見舞われながらも、順調にラップを重ねていった。しかし、レース中盤、カーナンバー1のアウディR18 TDI(ロッテラー/トレルイエ/フェスラー組)にギアボックスの電子式シフトチェンジユニットにトラブルが発生、優勝争いから離脱。一方、カーナンバー2(カペロ/クリステンセン/マクニッシュ組)とカーナンバー3(ベルンハルト/デュマス/デュバル組)は、その後も首位争いを演じていたが、終盤にカーナンバー3が他車と接触、4ラップの遅れをとる。

その結果、カーナンバー2のカペロ/クリステンセン/マクニッシュ組が総合優勝、2位にカーナンバー3のベルンハルト/デュマス/デュバル組がつけた。
 

WEC開幕戦で勝利をつかんだドライバーのコメントは次のとおり。

リナルド・カペロ

アラン(マクニッシュ)とトム(クリステンセン)と私にとっては、この3年間待ち焦がれた勝利だった。優勝というかたちで再び歩み出せたのをうれしく思っている。アウディR18 TDIがセブリングでレースをするのは初めてだったことも考えると、とても見事な成功だったと思う。63台ものマシーンが走る中でレースをし、マシンを無傷のまま保つのはとても大変なことだった。昨年のレースで多くを学んだおかげで、今年は多くのマシーンが走る中でも無傷でレースを終えることができた。

トム・クリステンセン

アウディ スポーツ チーム ヨーストは素晴らしい仕事をしてくれた。僕らのアウディR18 TDIのセットアップは最高だった。僕らは、チームメイトたちと激しいバトルを繰り広げていた。それだけでなく、HPDホンダとレベリオン トヨタのマシンも長い間僕らを追い続けていた。僕らが保つことのできたアドバンテージはわずかでしかなかったし、そのアドバンテージも度重なるコーションピリオドによって簡単に失われてしまった。マシンは快調に走ってくれたけれど、コース上の混雑は本当に酷かったし、僕が長い間コクピットに納まっていた正午前後の気温はとても高かった。ここで優勝するのは本当に大変なことだ。チームそしてアウディの人間はすべて今回の優勝を誇りに思って欲しい。60周年記念でありWEC開幕のレースでもあった今回を優勝で飾れたことは素晴らしいことだ。しかし、僕らはすでに、開発チームが再び多くのベネフィットを提供すべく創り出してくれたマシン"ハイブリッド車"で闘う次のレースを見据えている。

アラン・マクニッシュ

私はチームを誇りに思っている。今回の優勝のために、とても多くの努力をしてくれた。エンジニアやメカニックたちとともに、トム(クリステンセン)とリナルド(カペロ)と私は多くの時間を割いてマシンのセットアップを行った。そのおかげで、今日は最高のレースマシンを得られたのだと思っている。マシーンは本当に速かったし、レースの最初から終わりまで高い戦闘力を維持することができた。新しい世界選手権を優勝でスタートするなんて、最高の始まり方だと思う。


アウディスポーツ代表であるDr. ウォルフガング・ウルリッヒ、アウディ スポーツ チーム ヨーストのテクニカルディレクターを務めるラルフ・ユットナーはこう語る。

Dr. ウォルフガング・ウルリッヒ

セブリングで10回目のポールポジションを獲得し、その後10回目の優勝を成し遂げたことは、まさに素晴らしい出来事だ。われわれにとっては、今年のレースシーズンとFIA世界耐久選手権(WEC)の双方で素晴らしいスタートを切れたと思っている。われわれが持ち込んだ3台のマシンは、どれもまったく同じペースで走っていた。その結果、1-2フィニッシュを達成できたのだと考えている。残念ながら3台目のマシンに小さな不具合が起きてしまったために、1-2-3フィニッシュの達成はかなわなかった。しかし、チーム全員は今回の結果を誇らしく思っている。

ラルフ・ユットナー

非常に激しいレースだった。ライバルたちもとても強力だった。ライバルたちとの差はわずかなものでしかなく、度重なるコーションピリオドのせいでいつ逆転されてもおかしくなかった。最後に彼らに問題に見舞われたというだけのことで、レース開始からの11時間は、われわれにとって非常に厳しい時間だった。リナルド(カペロ)、トム(クリステンセン)、アラン(マクニッシュ)の3人は良くやってくれた。幸いなことに、彼らは3人ともマシーンの走らせ方を熟知していて、安心して任せることができた。他の2台のマシーンのドライバーたちにも良くやってくれたといいたい。彼らは皆、まったく同じレベルにいた。しかし、ゼッケン1号車がシフトトラブルを起こしたことは恥ずかしく感じている。修復にかなり本格的な整備を必要としたために、優勝のチャンスを逃してしまった。ゼッケン3号車も複数のコーションピリオドのために多少の不運に見舞われ、われわれは戦略を変更して臨む必要があった。それも逆に考えれば、レース序盤のイエローフラッグによって得をしたともいえる。最終的に接触事故があったものの2位でゴールすることができた。そして私は、冬の間に数多くの仕事をしてくれたメカニック達にも感謝している。その結果、WEC開幕戦を優勝で飾れたのだから! これでチーム全体の士気が向上したと思っている。