阪神高速道路の整備で、時間帯と目的地によっては、西名阪自動車道経由のルートも改めて見直すタイミングかもな、などと感じています。

日本のモータリゼーション黎明期、京阪神と関西方面を結ぶ交通の重要なルートとして開発された歴史の古い自動車専用道路。走るたびに、かつての日本、復興と海外列強との比肩に躍起になっていたころのマインド、モチベーション、そして強い握力のようなものを感じる道路です。

結構な登坂とカーブ、年季の入った路面は頻繁に工事が行われ、かろうじていまも現役のていを保っていますが、新東名新名神などの最先端の基準で、いまの技術で作られた道路との違いは相当なものです。

ここを走るとクルマの脚の良さ、タイヤの良さが顕著にわかることでしょう。

東名阪道亀山から、無料区間を経て、天理からヤマトの国はまほろば、奈良の盆地の穏やかな地形、気候、風景の中を抜けて、生駒の向こうは大阪!という西名阪自動車道香芝サービスエリア。だからここは、西と東の間、というばかりではなく、自動車の旅におけるいまとむかしのあいだのようなポイントでついつい立ち寄り、その移ろいを噛み締めるような休憩を取ることが多いのです。

久しぶりに朝、空腹の裡にここを通り、何か朝飯でもと思ったときのこと。場所がらヤマトポークのメニューも魅力的。豚汁定食なかなか満足度は高いし、トンカツやラーメンも結構満足度高し。もう少し遅ければ神座(かむくら)のラーメンなども食べられるのですが、この日、食事処とくとくに向かうと、いいダシの香り。

この香りがすると「関西に来たなあ」と思ったりするのです。時間限定の朝定食などもありますが、親子丼とうどんのセットをいただくことにしました。

醤油ではなく、たまごの旨味も、うどんの喉越しや、これらの料理がそもそももっている優しさのようなものがこのおだしで包まれているよう。うちのほうでも食べられるものですが、その内容は大幅に異なる関西の親子丼とおうどんでした。

ようやく来た来た!もうすぐ大阪!お邪魔しますよ!という気になってきます。クルマ旅で訪れたところで、その地方の味に身を委ねる。クルマ旅の本質を思い出した食事でした。

香芝の親子丼とうどんのセット、大満足の一食になりました。

エリア内には立派な桜の木あり、春に訪れればドライブの休息でいいお花見もできます。

(Text & photos by Kentaro Nakagomi)