2019年2月、大阪オートメッセにおいて、RAYSがVOLK RACINGの「G025」をお披露目した。2019年6月にも発売予定の新作にこめられた思いに迫る。
ご存じのように、RAYSを代表する鍛造ホイールの「VOLK RACING」には、スポーツホイールの代名詞といえる「TE37」を筆頭に、「ZE40」「CE28」など、おもに日本車ユーザーをターゲットとした製品と、「G16」「G25」「G27」など、輸入車ユーザーをメインターゲットとした「Gシリーズ」がある。
なかでも、Gシリーズは性能と美しさを高い次元で両立したスポーツホイールとして、フォルクスワーゲンやアウディのユーザーからの支持が高まっている。
「Gシリーズは、理由のないラインがないというくらい、性能のためにすべてが考えられています。それでいて、美しさも表現するのがGシリーズの特徴です」
そう語るのは、RAYSでVOLKRACINGを手がける山口浩司氏だ。VOLK RACINGでは新たな試みとして「Zeroシリーズ」を誕生させている。その第一弾として「TE037」が登場したのは記憶に新しい。
今回、発表された「G025」はZeroシリーズの第二弾。従来のGシリーズが誇る性能と美しさに、エクストラ(特別)な価値を加えたRAYSの意欲作である。
G025がメインターゲットとするのが、「Audi RS 3」に代表されるハイパフォーマンスコンパクトスポーツだという。
「ひと握りのファンだけが楽しめるハイエンドスポーツではなく、より多くの人が楽しめる、高いパフォーマンスと優れたクオリティのクルマがどんどん生まれています。400ps超えの2Lターボエンジンと4WDを搭載するハイパフォーマンスコンパクトスポーツには、19インチのスポーツタイヤと380〜400φのブレーキローター、6ポッド以上の対向ピストンが必須です。そんなクルマにふさわしい性能とデザインを持つホイールがG025なのです」(山口氏)
今回は、現在開発中の19インチのFACE-1とFACE-2を、8speed.netのAudiRS 3 Sportbackに装着してみたが、シャープでキレのあるデザインが、最新のAudiデザインに実にマッチしていて、Audi RS 3 Sportbackのスポーティさを際立たせている。
これに貢献しているのが、最小幅5.5mmという細いスポーク。「G25」の7.5mmよりもさらにスリムになった。これにより、G025はスポークのあいだからブレーキキャリパーの「RS」の文字がよく見える。つまり、ハイパフォーマンスを象徴するブレーキキャリパーを見せることを意識したデザインとしたのだ。
スポークの横にあけた穴は、ブレーキの熱を逃がすだけでなく、ここからビッグキャリパーを覗かせる視覚的な効果も狙っている。これを実現するには5軸加工機を使った高度な技術が必要となるが、RAYSでは量産性を確保しながら、穴開け加工の限界に挑戦する取り組みを行っている。
ハイパフォーマンスコンパクトスポーツでは、リム幅に制限があり、インセットも大きいことから、これに対応すると、ディスク面のデザインはどうしてもフラットになってしまう。
これに対して、G025ではスポークのセンター部に折れ線と穴を設けることで立体的な造形をつくりだすことに成功している。
さらに、G025では、RAYS独自の「デザイン成型金型鍛造工法」や「RM8000回転鍛造」により、4つの異なるFACE(コンケーブ量)を用意。その豊富なバリエーションや、全切削(ワンオフ)でつくれば1本20万円はくだらないレベルのホイールを10万円を切る価格から提供できるのは、まさにRAYSならではだ。
こうしたデザインを採用しながら、スポーツホイールにふさわしい性能を確保。G025ではGT500のホイールを開発しているエンジニアが担当することで、最先端のテクノロジーによってVOLK RACINGにふさわしい性能とデザインを実現しているのだ。
RAYSでは手始めに19インチを2019年6月にリリースし、その後、20インチを追加。さらに、2020年までには18インチを発売する予定だ。
Audi RS 3ユーザーをはじめ、ハイパフォーマンスコンパクトスポーツのオーナーにとっては見逃せないG025である。
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)
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