マイナーチェンジしたゴルフに試乗。このPart2では、従来と同じパワートレインを搭載するゴルフTSIハイラインの走りをチェックする。
※Part1「デザイン」編はこちら
今回のマイナーチェンジでは、基本的なラインアップに変更がないだけでなく、ゴルフTSIトレンドライン、ゴルフTSIコンフォートライン、ゴルフTSIハイラインといった非スポーツモデルについては、搭載されるパワートレインも従来と同じである。すなわち、トレンドラインとコンフォートラインには105psの1.2 TSI、ハイラインには140psの1.4 TSIが積まれ、いずれも乾式クラッチ式の7速DSGが組み合わされているのだ。
さっそく運転席に座ると、センター部分がバックスキン調のシートは、フォルクスワーゲンらしいやや硬めの感触。シート調節はマニュアルだが、ステアリングコラムのチルト、テレスコピックの調節"しろ"が大きいおかげで、ちょうどいいドライビングポジションが得られるのがうれしい。
準備が整ったところでシフトレバーをDに動かし、ブレーキをリリースすると、クルマはスルスルと動きはじめた。"クリープ"のスムーズさはトルクコンバーター式のオートマチックと変わらないレベルだ。アクセルペダルを軽く踏むと、1.4 TSIはこれまでどおり低回転から豊かなトルクを発揮しながら、スムーズにスピードを上げていく。
DSGのシフトアップもスムーズで素早く、たいていは2000rpmに達する前に次のギヤが選ばれ、60km/hでは5速1700rpmほどで走行を続ける。アクセルペダルを踏み増すような場面でも小気味よくエンジンが反応するおかげで、ストレスを感じることはない。
さらに加速が必要なときでも、この1.4 TSIは6000rpm超まで力強く回転を上げるから、高速道路の合流や追い越しといったシーンでも、実に頼もしい。多少仕様は異なるものの、パサートやティグアン、ゴルフ トゥーラン、そして、シャランなどにも採用される1.4 TSIだから、より軽くコンパクトなゴルフを走らせることなどお手の物だ。
その一方で、実用燃費が良いのもこの1.4 TSIの特徴だ。前述のとおり、街中を60km/hで巡航する際のエンジン回転は1700rpmほどで、もう1段上のギヤを選んだほうが燃費には効きそうだが、6速へのシフトアップはだいたい65km/h、7速へは78km/hあたりと、1.2 TSIに比べると多少"引っ張り"気味である。
そのかわり、負荷が低い、すなわち、アクセルを緩く踏んでいるような状況では、「アクティブシリンダーマネージメント(ACT)」の働きによって、4気筒のうち2気筒が休止(といってもピストンは動いていて、吸排気バルブが止まり、空気も燃料も供給されない状態)することで燃費を稼いでいる。なお、ACTが働くのは1400〜4000rpm。エンジン回転が低すぎると気筒休止は行わない。
4気筒と2気筒の切り替えは実にスムーズで、切り替えの際に変なショックが伝わることはない。2気筒運転時は回転計の下に「ECO」が表示され、また画面によっては中央部に「2シリンダーモード」と表示されるが、それを見なければ2気筒であることに気づかないほど。その際、瞬間燃費がグンと上がり、うまくこの状態を続けると平均燃費は伸びていくのだ。
参考までに試乗時に表示された平均燃費は、高速中心の走行で17.9km/h。途中、高速だけの区間燃費は18〜20km/Lというところだった。
ちなみに、慣れてくると、2気筒運転に切り替わるとわずかにエンジンのノイズや振動が大きくなることに気づくかもしれないが、心なしかそのレベルが以前よりも低くなったように思えた。
走りについても相変わらずハイレベルだ。少し硬めとはいえ、落ち着きのあるフラットな動きと快適な乗り心地を両立するとともに、高速域での直進安定性は抜群! それでいてコーナーでは軽快なハンドリングを楽しむことができるのだ。
トレンドラインやコンフォートラインがリヤサスペンションにトーションビーム式を採用するのに対し、このハイラインはマルチリンク式を搭載することで、コーナーでのリヤタイヤの踏ん張りが高められているのも見逃せない。スポーツモデルを手に入れなくても、積極的にドライビングを楽しみたい人には、このハイラインがオススメである。
装着される225/45R17タイヤによるものなのか、路面とのコンタクトがやや硬めで、目地段差を越えた際のいわゆる"ハーシュネス"が気になることもあった。
ひとつ残念なのが、従来ハイラインでも選ぶことができた可変ダンピングコントロールのDCCが、マイナーチェンジ後は選べなくなったこと。よりしなやかで上質な乗り心地を提供してくれていただけに、個人的にはさびしいかぎりだ。
そうはいっても、このクラスでは動力性能でも走行性能でも依然リードしていることに変わりはない。スペックには現れないが、エンジンも足まわりもさらに熟成されて洗練さを増したように思える新しいゴルフである。
そんな基本性能の高さに加えて、さらにこのクルマの魅力をアップする機能について、次のPart3「テクノロジー」編でチェックしたいと思う。
(Text & Photos by S.Ubukata)
※Part1「デザイン」編はこちら
今回のマイナーチェンジでは、基本的なラインアップに変更がないだけでなく、ゴルフTSIトレンドライン、ゴルフTSIコンフォートライン、ゴルフTSIハイラインといった非スポーツモデルについては、搭載されるパワートレインも従来と同じである。すなわち、トレンドラインとコンフォートラインには105psの1.2 TSI、ハイラインには140psの1.4 TSIが積まれ、いずれも乾式クラッチ式の7速DSGが組み合わされているのだ。
さっそく運転席に座ると、センター部分がバックスキン調のシートは、フォルクスワーゲンらしいやや硬めの感触。シート調節はマニュアルだが、ステアリングコラムのチルト、テレスコピックの調節"しろ"が大きいおかげで、ちょうどいいドライビングポジションが得られるのがうれしい。
準備が整ったところでシフトレバーをDに動かし、ブレーキをリリースすると、クルマはスルスルと動きはじめた。"クリープ"のスムーズさはトルクコンバーター式のオートマチックと変わらないレベルだ。アクセルペダルを軽く踏むと、1.4 TSIはこれまでどおり低回転から豊かなトルクを発揮しながら、スムーズにスピードを上げていく。
DSGのシフトアップもスムーズで素早く、たいていは2000rpmに達する前に次のギヤが選ばれ、60km/hでは5速1700rpmほどで走行を続ける。アクセルペダルを踏み増すような場面でも小気味よくエンジンが反応するおかげで、ストレスを感じることはない。
さらに加速が必要なときでも、この1.4 TSIは6000rpm超まで力強く回転を上げるから、高速道路の合流や追い越しといったシーンでも、実に頼もしい。多少仕様は異なるものの、パサートやティグアン、ゴルフ トゥーラン、そして、シャランなどにも採用される1.4 TSIだから、より軽くコンパクトなゴルフを走らせることなどお手の物だ。
その一方で、実用燃費が良いのもこの1.4 TSIの特徴だ。前述のとおり、街中を60km/hで巡航する際のエンジン回転は1700rpmほどで、もう1段上のギヤを選んだほうが燃費には効きそうだが、6速へのシフトアップはだいたい65km/h、7速へは78km/hあたりと、1.2 TSIに比べると多少"引っ張り"気味である。
そのかわり、負荷が低い、すなわち、アクセルを緩く踏んでいるような状況では、「アクティブシリンダーマネージメント(ACT)」の働きによって、4気筒のうち2気筒が休止(といってもピストンは動いていて、吸排気バルブが止まり、空気も燃料も供給されない状態)することで燃費を稼いでいる。なお、ACTが働くのは1400〜4000rpm。エンジン回転が低すぎると気筒休止は行わない。
4気筒と2気筒の切り替えは実にスムーズで、切り替えの際に変なショックが伝わることはない。2気筒運転時は回転計の下に「ECO」が表示され、また画面によっては中央部に「2シリンダーモード」と表示されるが、それを見なければ2気筒であることに気づかないほど。その際、瞬間燃費がグンと上がり、うまくこの状態を続けると平均燃費は伸びていくのだ。
参考までに試乗時に表示された平均燃費は、高速中心の走行で17.9km/h。途中、高速だけの区間燃費は18〜20km/Lというところだった。
ちなみに、慣れてくると、2気筒運転に切り替わるとわずかにエンジンのノイズや振動が大きくなることに気づくかもしれないが、心なしかそのレベルが以前よりも低くなったように思えた。
走りについても相変わらずハイレベルだ。少し硬めとはいえ、落ち着きのあるフラットな動きと快適な乗り心地を両立するとともに、高速域での直進安定性は抜群! それでいてコーナーでは軽快なハンドリングを楽しむことができるのだ。
トレンドラインやコンフォートラインがリヤサスペンションにトーションビーム式を採用するのに対し、このハイラインはマルチリンク式を搭載することで、コーナーでのリヤタイヤの踏ん張りが高められているのも見逃せない。スポーツモデルを手に入れなくても、積極的にドライビングを楽しみたい人には、このハイラインがオススメである。
装着される225/45R17タイヤによるものなのか、路面とのコンタクトがやや硬めで、目地段差を越えた際のいわゆる"ハーシュネス"が気になることもあった。
ひとつ残念なのが、従来ハイラインでも選ぶことができた可変ダンピングコントロールのDCCが、マイナーチェンジ後は選べなくなったこと。よりしなやかで上質な乗り心地を提供してくれていただけに、個人的にはさびしいかぎりだ。
そうはいっても、このクラスでは動力性能でも走行性能でも依然リードしていることに変わりはない。スペックには現れないが、エンジンも足まわりもさらに熟成されて洗練さを増したように思える新しいゴルフである。
そんな基本性能の高さに加えて、さらにこのクルマの魅力をアップする機能について、次のPart3「テクノロジー」編でチェックしたいと思う。
(Text & Photos by S.Ubukata)