フォルクスワーゲン グループの小さなファンカー同士の決戦。基本的に、小型SUVは必ずしも手を焼いたり、心臓をバクバクさせたりするようなクルマではない。もちろん、Audi SQ2やVW T-Roc Rのように300PSのハイパフォーマンスモデルであれば話は別だが。2台のフォルクスワーゲングループ内の小型パワーSUVを比較してみた

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

画像1: 【Auto Bild】高性能コンパクトSUV対決! T-Roc RとSQ2を乗り比べると!?

フォルクスワーゲン グループのコンパクトセグメントのSUVだけに限っても、この比較には「退屈」は許されないのだ。そこで、言葉を濁さないために、まずはそれぞれのトップモデルにお願いした。正確には、最近改良された「T-Roc R」と、インゴルシュタットに本拠を置く技術的兄弟である「SQ2」が出会ったのだ。どちらも全長4.20mをわずかに超えるだけだが、それでも300PSを発揮する。

まずはT-Rocのフェイスリフトを見てみよう。見てのとおり、あまり変わったようには見えないが、その一方で、フォルクスワーゲンの小型SUVであることに変わりはない。ラジエーターグリルには連続したLEDストリップが追加され、その下にはブラックのトリムが施され、よりキビキビとした親しみやすい表情を強調している。また、ブラック塗装のトリムがリヤを彩り、テールランプはより「Golf」を彷彿とさせるデザインとなっている。

SQ2はT-ROCほど現代的でない

一方のSQ2は、2020年10月のフェイスリフト以降、変更されていない。そして、それは決して悪いことではない。大型グリル、ブラックインサート、ダイナミックな表情……。バックミラーで見過ごせないアウディ最小のSUVは、Sモデルでもアグレッシブさや見た目の強引さは感じさせない調和のとれたデザインだ。なお、アウディの公式発表によれば、Q2の後継モデルは残念ながら存在しないとのことだ。

インテリアは、アウディのほうが素材の質感が高いが、インフォテインメントの機能はT-Rocに比べると、現代的でないように見える。T-Rocは、Apple CarPlayやAndroid Autoもケーブルなしで可能だ。しかし、アウディのボイスコントロールは、T-Rocのボイスコントロールよりも話し言葉の理解度が低く、SQ2にはボイスアクティベーションがまったくない。また、最新地図へのオンライン更新も対応していない。

T-Rocはこうした現代的な機能を使いこなし、ナビゲーションシステムやラジオは「Hello Volkswagen」で操作できるが、クライメートコントロールは機能性の低いタッチスライダーで操作しなければならない。フォルクスワーゲンの場合、これらはオーディオの音量調節にも対応するが、アウディは本物のノブやボタンに頼っており、しかもそれだけではない。SQ2のやや小型のモニターは、触るとせいぜい指紋が付く程度で、マルチメディアシステムはBMWのiDriveのようにセンターコンソールの回転式プッシュボタンで操作する。

ステアリングホイールにもタッチスイッチを搭載

しかし、BMWと同様、この操作コンセプトの時代は終わりつつあるのかもしれない。フォルクスワーゲンに採用された高感度なタッチスイッチはステアリングホイールにも採用され、ドライブモードボタンを示す青いRが表示されるようになっている。

画像: デジタルコックピットはT-ROCに標準装備され、大型のナビゲーションシステム「Discover Pro」は1,135ユーロ(約15万円)の追加料金で購入できる。

デジタルコックピットはT-ROCに標準装備され、大型のナビゲーションシステム「Discover Pro」は1,135ユーロ(約15万円)の追加料金で購入できる。

T-Rocは、より快適に、あるいはよりスポーティな正確に設定することができる。可変ダンピングコントロールのおかげで、乗り心地の改善も可能だ。これは、常にスポーツサスペンションが装備され、ダンパー調整ができないSQ2に対する明確なアドバンテージといえる。アウディで旅をすることが罰ゲームというわけではないものの、本当にひどい石畳の道では、少し不機嫌になる感じがある。

さらに、T-Rocはすべてのシートとトランクのスペースが広く、フロントシートは私たちをよりよくサポートし、長いシートクッションのおかげで太もものサポート性がより高いように感じる。一方で、長距離走行やサーキット走行では、フォルクスワーゲンはアウディから少し劣っていることは否めない。

走行性能は互角

性能に関しては、引き分けだ。それもそのはず、両車ともにおなじみの2L TFSIエンジンを搭載し、7速のデュアルクラッチを介して300PSを4輪に供給するからである。完全停止状態から100km/hまではT-Roc Rがコンマ1秒、200km/hまではSQ2が0.7秒先行し、ともに250km/hでリミッターが作動する。また、ダイレクトシフトのギアボックスにも差はなく、左右で目立たず素早く作動するが、両モデルとも、シフトチェンジの際に少し乱れがあり、すぐに正しいギア比を見つけられないことがあるようだ。

画像: 走行性能は互角

両車ともステアリングのバランスが心地よく、その違いは直接乗り換えることでしか判断できない。SQ2はやや力が入りにくく、T-Roc Rはややダイレクトな印象だが、それによる優位性が存在するとはあまりいえない。

ハンドリングも申し分ない。あまり楽観的にカーブにアプローチすると、2台とも四つんばいになって外側に押し出されてしまう。このような挙動になったとき、つまり両車とも、アンダーステアになったときは、カーブの入り口でドライバーが本当に無理をしたとき、短いパワーパックを完全に「オーバードライブ」させたときの、最後の手段でしかないのだ。

ESCをオフにしても、重大な危険はもちろんのこと、想定外の事態はほとんど起こらない。とはいえ、クルマの楽しさは十二分に伝わってくる。しかしオフにすることはお勧めしない。この小人たちがこれほどの力を持っているとは、ほとんど誰も信じていないからだ。

チタン製システムで3,975ユーロ(約55万円)という破格の値段

T-Rocの4本の本物のテールパイプを見て初めて、通はなるほどと頷くのである。アクラポビッチのチタン製エグゾーストシステムの価格は、なんと3,975ユーロ(約55万円)。控えめなSQ2よりもリッチなサウンドだが、スポーツモードでは少しノイジーだし、全体的に音量が大きめだ。これはかなり人工的な効果で、好き嫌いが分かれるところだが、だからこフォルクスワーゲンのエンジンサウンドなどにはボーナスポイントを与えない。

画像: チタン製システムで3,975ユーロ(約55万円)という破格の値段

参考までに、T-Rocのテスト車(アクラポビッチのチタン製エグゾーストシステムなし)は5万ユーロ(約700万円)以上だが、さらに「すべてを搭載した」テスト車は6万ユーロ(約840万円)近くになる。

10km/Lというテスト時の燃料消費量は、現在の1Lあたり2ユーロ(約280円)近い狂気の燃料価格を考えると、本当に厳しいと思う。そして、スピードデートに誘惑された人は、その2倍を計算しなければならない。しかも、アウディもフォルクスワーゲンも高価なハイオクを必要とするのである。

T-Roc Rの方が装備はやや充実しているが、3万kmごとにオイル交換が必要とされる。

第1位251点:T-Roc R

パワフルで扱いやすく、日常使いにも適したミックス。しかし残念ながら価格が高い。

第2位249点:SQ2

こちらも大きな楽しみのポテンシャルに恵まれているが、小さくて快適性に劣る。そしてこちらもまた、高価である。

画像: 第2位249点:SQ2

結論

簡潔さは人生のスパイス。これはSQ2とT-Roc Rに間違いなく言えることだ。4輪で300PSを発揮する小型パワーSUVは、常にその楽しさのポテンシャルを追求するよう誘惑する。しかし、残念ながら、どちらも価格はかなりの高水準だ。

(Text by Berend Sanders and Gerald Czajka / Photos by autobild.de)

画像2: 【Auto Bild】高性能コンパクトSUV対決! T-Roc RとSQ2を乗り比べると!?

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