1976年から「ゴルフGTI」はスピードと楽しさの象徴だ。それはゴルフ8にも当てはまるのだろうか。サーキットでの「メルセデスA 250」との比較で明らかになる。
※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。
ため息とともに泣きたくなる。37,607ユーロ(約490万円)は、すべての家族の楽しみのためのクルマであると同時に、スポーツマンなパパのための高価な出費でもある。それが新しいゴルフ8 GTIにかかるコストだ。もっともシンプルなゴルフは、その約半分の価格設定だ。
一方のメルセデスもいろいろと悩ましい。Aクラスは、A 250 4MATICの価格は、39,202ユーロ(約510万円)からだ。
フォルクスワーゲンとメルセデスのどちらが、より多くの自動車としての価値を有しているか、より速く、よりスポーティで、払ったお金に対してより多くの楽しみを提供してくれるか。ストレートかつタフなわれわれの最初の比較テストが、これらを明らかにする。
GTIとA 250の走行性能に不満はない
A 250はオートマチックしかないが、フォルクスワーゲンも2021年まではゴルフのマニュアル車を投入していないため、今回は両車とも、7速デュアルクラッチトランスミッションが変速を担う。
エンジンとシャシーのシステムも非常に似ている。4気筒の2Lターボガソリンエンジンがパワーを与える。メルセデスのA 250は350Nmのトルクを、フォルクスワーゲンは370Nmのトルクを発揮する。
これは、両方のコンパクトカーを250km/hの最高速度まで強力にプッシュし、どちらのクルマもわずか6秒強で0から100km/hにまで加速することができるトルクパワーでもある。
スペックの比較ではそうなるが、しかし実際ドライビングインプレッションでは、フォルクスワーゲンのほうがより優れている、少なくとも“スポーティさ”という観点からは。
ゴルフGTIはレーストラックでも素晴らしい
端的に言えば、GTIは、より頑固だが、より生き生きとしていて、よりフィットした楽しいスポーツカーだ。
なぜなら、フォルクスワーゲンは、19インチホイールとともに、レーシングカー並みの性能と性格を兼ね備えているからだ。
ゴルフGTIのエンジンはメルセデスA 250の2Lターエンジンよりもパワーがあり、同時に活気もある。最大トルクがA 250より200rpmほど低い1600rpmから発生するからだ。
A 250の4気筒エンジンは、ドライバーが容赦なくアクセルペダルを踏みこむ場合にのみ、レブリミットの6000rpmにまで達することができるが、GTIのエンジンは、自らが貪欲に7000rpmに向かって上昇し続ける。
その結果、ゴルフGTIはA 250より、生き生きと走行する。ただ、フォルクスワーゲンのエンジンサウンドはやや人工的で、この硬質なハミングノイズには慣れる必要がある。
メルセデスが、いつもどおり、より頑丈で、より静かで、よりスタイリッシュである一方で、フォルクスワーゲンからはよりライトウェイトで、よりカジュアルな感じを受ける。
完成度の高いGTI
A 250が4つのホイールとともに、若干ドリフト気味にコーナーをクリアするのに対し(素晴らしく予測可能ではあるが)、ゴルフGTIはより良くコーナリングをこなし、その限界性能も高い。さらに、装着されているタイヤはわずかなアンダーステアでも驚くほど良いグリップを発揮する。
アクセルペダルを踏みながらカーブに入った直後にラインを理解し、こなしていく。センセーショナルだ。
ゴルフGTIが物理学的にレースの世界を説明してくれる。それは非常に楽しい。つまりゴルフGTIは完璧? ほぼそうだ。
しかしその一方で些細なことが気になる。
例えば、ESC(素晴らしいスポーツモード)のコントローラーは、デジタルメニューの奥深くに隠されているし、モードによってはサスペンションのチューニングが、日常使用時においてはややハードに感じる場合もあるだろう。
400点満点中286点で第1位:ゴルフGTI
非常に機敏で高性能なコンパクトスポーツカー。パワフルなエンジン、強靭なシャシー、優秀なブレーキ。素晴らしい!
400点満点中269点で2位:メルセデスA 250
日常生活におけるGTモデル。絶対的に安全に運転でき、快適で、さらに経済的でもある。だがゴルフGTIよりも全体的に限界が低く、総合完成度では及ばない。
結論
メルセデスAクラスは、完璧なトラクション、コントロールのしやすいハンドリング、低燃費、そしてオールラウンドで滑らかなドライビングの快適性を提供する。言い換えれば、メルセデスは日常的なGTだが、フォルクスワーゲンはより多くのことができるスポーツモデルである。
両モデルとも優れた224PSでパワフルなドライビングを提供するものの、ゴルフのほうが、より「ファン トゥ ドライブ」で、生き生きとした感覚を持ち、ドライバーははるかに多くの楽しみを経験できる。
メルセデスは、スポーティというよりも、よりオールラウンダーなモデルだ。
レーストラックにおけるわれわれの審査の結果は……コンパクトの王様がゴルフGTIだということは議論の余地がない。
(Text by Jan Horn, Mirko Menke / Photos by Christoph Börries[AUTO BILD])
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