■前年比49%増!

ヨーロッパではフォルクスワーゲンT-Rocが好調だ。2019年欧州地域では207,976台の販売台数を記録し、小型クロスオーバー販売台数ランキングでは「ルノー・キャプチャー」「ダチア・ダスター」に次ぐ第3位を獲得した。さらに、前年比49%増という数字は、上位2車の伸び率を大きく超える(データ出典: CARSALESBASE)。

筆者が住むイタリアでは2019年に39,600台が登録され、全車種ランキングでなんと8位に入っている。

これは販売現場の人に話を聞かねば。ということで、我が街シエナのフォルクスワーゲン販売店に赴いてみることにした。2019年9月に「えっ、フォルクスワーゲンが1日1600円で持てるって!」で紹介した「エウロモトーリ」である。

ショールームでは、セールスパーソンのキアラ・ファロルニさんが対応してくれた。

画像: シエナのVW正規販売店「エウロモトーリ」で。営業のキアラ・ファロルニさんとT-Roc。

シエナのVW正規販売店「エウロモトーリ」で。営業のキアラ・ファロルニさんとT-Roc。

まず、この販売店におけるT-Rocのガソリン/ディーゼルの販売比率は?

「まさに50:50ですね。年間走行距離が多い方には、1.6 TDIターボディーゼルをお勧めしています」

3気筒1L TSIエンジンへの関心は?

「最初は半信半疑のお客様が多かったのですが、その良さが口コミで伝わりました」

人気の3気筒1.0 TSI、4気筒1.5 TSI、そして4気筒1.6 TDIは、すべて6段マニュアルのみの設定だしかし、お客さんからのリクエストは、大半がマニュアルなので問題はないようだ。参考までに、イタリアでは、2017年にAT比率がようやく20%を超えたところである(出典sicurauto.it)。

■辛抱強いT-Roc購入希望者?

T-Rocといえば、ボディ色とルーフ色の多様なパーソナライズが売り物だ。

「鮮やかな“ラヴェンナ・ブルー”を好むお客様もいらっしゃいますが、やはり主流は“パールブラック×ピュアホワイト”“インディアムグレー×ブラック”ですね」

このあたりは、イメージとは裏腹に、意外にコンサバティヴな色を好むイタリア人男性の服装チョイスと近似する。同時にいえるのは、いくらフォルクスワーゲンでも、ここ約20年のイタリアにおける黒/白/グレー主流のボディカラー傾向に抗することはできないようだ。

画像: T-Rocのカタログカラーといえば、デビュー当初からラヴェンナ・ブルー(左)とクルクマ・イエロー(右)だったが、実際の人気色はやや違った。

T-Rocのカタログカラーといえば、デビュー当初からラヴェンナ・ブルー(左)とクルクマ・イエロー(右)だったが、実際の人気色はやや違った。

標準装備で好評なのはスマートフォンと連携可能な「Appコネクト」、いっぽうオプションの一番人気は、「フルLEDヘッドランプですね」とキアラさんは証言する。

イタリアでは、1.0 TSIが2万4千ユーロ(約290万円 : 付加価値税22%込み)から。

参考までにT-Rocを購入する顧客から引き取った下取り車は、「ゴルフ」や他社製Cセグメントハッチバック車が大半だが、Bセグメントの「日産ジューク」もあったという。

画像: 販売店の一角に飾られたコレクション。

販売店の一角に飾られたコレクション。

納期は、目下のところ60日から90日という。“km ゼロ”といわれる、すでにナンバーが付いた新古車の引き合いが多いイタリアだが、T-Rocユーザーは新車志向が強く、かつ「じっくりお待ちになる方が多いですね」。

画像: キアラさんいわく、目下のところ納車まで2〜3ヶ月待ちという。

キアラさんいわく、目下のところ納車まで2〜3ヶ月待ちという。

そう説明するキアラさんは自動車セールス歴9年。彼女自身についても、聞いてみることにした。

■ハンターのサプライズ

彼女は、もともと他業種で販売職にあたっていたが、縁あって2011年に自動車販売の道に入った。以来フォルクスワーゲングループの1ブランドでチェコを本拠地とする「シュコダ」のショールーム、そして同じ販売会社グループが経営するトヨタの営業所で営業経験を積んだ。

そのトヨタ営業所が2017年から18年にかけてフォルクスワーゲンに取り扱いブランドを変更したのを機に、フォルクスワーゲンのセールスパーソンとなり、現在に至っている。

画像: ショールーム内、広く開放できるドアの直後にあったピュアホワイトのT-Rocは、納車待ち車両だった。

ショールーム内、広く開放できるドアの直後にあったピュアホワイトのT-Rocは、納車待ち車両だった。

フォルクスワーゲン車を売る喜びとは?

「お客様の家族の移り変わりにあわせ、豊富なラインナップからクルマをご提案できることです。やがて、その子どもさんが大きくなってクルマを購入するといったように、長い期間にわたって、お客様のライフステージに寄り添うことですね」と語る。

画像: お客さんの家族の成長に寄り添えるのが、VWセールスの喜びと語る。

お客さんの家族の成長に寄り添えるのが、VWセールスの喜びと語る。

いっぽうで、こんなエピソードも。

ある日、高齢のお客さんがいきなり、キジ1羽を提げてやってきたという。「『ハンティングでしとめたのさ』と自慢で持ってきてくださったのです」。トスカーナでは、昔からよくある親愛の情だ。彼女から購入した車が大変気に入ったらしい。

T-Rocがさらに売れると、キアラさんのもとには、もう1羽か2羽キジが持ち込まれるかもしれない。

画像: VWの好調に合わせて、スタッフを増員。ショールーム内は活気に溢れている。

VWの好調に合わせて、スタッフを増員。ショールーム内は活気に溢れている。

(文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)

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