早いもので全日本ラリー選手権もシーズンの半分を消化し、6戦目を迎えました。7月は6戦目ARKカムイ、その2週間後に7戦目秋田横手と、2つも大会があるので、さくらちゃんは絶対壊せない。というのも、さくらちゃんはドイツ生まれ。日本には在庫がないパーツもたくさんありまして、輸入がまにあわなかったりするわけなんです。無事に壊さず少しでも速く……。まだまだ私の腕では難しい課題を抱えながら迎えた大会となりました。

画像: 第7回 ARKラリーカムイ、「さくらちゃん」のご機嫌はななめ!?

7月4日(木)ニセコに向けて出発!

前戦モントレー大会で出た、“エンジンが4000rpm以上吹けない”に代表されるさまざまなトラブル。これが本当に直ったのかどうかが、かなり不安だったんです。安全マージンを考えて丸ごとパーツを変えるという手もあったのですが、日本国内に部品がないということがわかり、チーフメカニックさんがなんとか原因を手探りしながら直したら直った?!……という具合だったんですよ。

画像: 7月4日(木)ニセコに向けて出発!

他にもまだいくつかまにあっていないパーツもあったりして、相変わらず成長途中のさくらちゃんではありますが、「なんとかなるかな? なんとかするしかないな!」という感じ。それに加えて出発前日、突然シートベルトが動かないトラブルなんていうのも勃発したりして……。どうにか翌日のレッキに出かけることができそうだ……という感じのスタートとなりました。

7月5日(金)レッキ

ラリーの朝って早いんです。3時に起きて、5時からはもうレッキ受付開始(笑)今回は本番車「さくらちゃん」を使ってのレッキなので、様子を見がてら出発です。とりあえず、処々のトラブルが解決してるのを確認して、ホッとひと安心。レッキはゆっくり走るだけということで、例の4000rpm問題も大丈夫でした。

画像: 7月5日(金)レッキ

それより大変だったのがタイヤ(笑) アンダーガードが装着されたクルマでレッキをする場合は、グラベル用の競技タイヤは使用不可というレギュレーションがあるので、それ以外のタイヤを履かないといけないのですが、さくらちゃんが持っているのはターマックラリー用のタイヤと、もともとついていたノーマルタイヤだけ。

というわけで、ターマック用のラリータイヤ、しかも使い古しの溝がほとんどないタイヤでレッキに出かけたので、まぁグラベルだと滑る滑る! 考えてみると、スリックタイヤで走っているような状態でしたから滑るのも当たりまえ。逆にクルマのコントロールの練習にはなったかも!? レッキでクラッシュするわけにはいかないので、ドキドキしながら走り切りました(笑) ちなみに他のチームの方たちは、商用車に使うような粗目のパターンのラジアルタイヤを使っているんだそうです。

7月6日(土)DAY1

まずはSS1。今日はグラベル用のラリータイヤを履いているはずなのに、「結構滑りますよ~」という情報が入ってきました。とはいえ私の場合、昨日に比べれば「よくグリップするじゃん!」てな具合(笑)

画像1: 7月6日(土)DAY1

それよりフロントタイヤの接地感が低めで少々不安だったんです。そこで、フロントタイヤの空気圧をコンマ3下げることにしました。これが功を奏しSS2ではだいぶコントロールしやすくなったものの、今度は相当お尻を振る感じに。そこでSS2が終わった時点でリヤタイヤの空気圧をコンマ3落とし前後を揃えてみました。すると「う~む、今度はもう少しフロントがクッと入ってくれる方が乗りやすいなぁ~」なんて。なかなか思うようにいきません。

ところがここで、大問題勃発。だんだんとブレーキが利かなくなってきたんです。なので、SS3の中盤からは、ややオーバースピードでコーナーに進入し、たまたま(?!)上手い具合にステアリングのコントロールが成功した、という走りになりまして、これがまた、たまたまタイム的にもよかったのですが(笑) これじゃさすがに怖いというか、一歩間違えるとアウト!という不安定さ。

画像2: 7月6日(土)DAY1

とはいえ午後のセッションにブレーキ云々はまにあわない感じだったので、ここはひとまず置いておいて、足回りのセッティングに集中。空気圧は前後同一で、リヤの車高を上げるという作戦に出ることにしました。ところが! これが裏目に出ちゃったんですよぉ~。コーナーの入り口でアンダーステア気味、中盤~後半でオーバーステア気味という、いわゆる“アンダーオーバー”な感じで、非常に乗りにくいフィーリングになっちゃったんです……。オマケにSS5の中盤からまたまたブレーキが利かなくなり、出たとこ勝負のドライビングに……。

画像3: 7月6日(土)DAY1

「ううむ、明日は約23kmの長いSSがあるし、なにか考えないと……」というところで、DAY1フィニッシュとなりました。でも午前中のSS2とSS3、午後のSS4は、これまでと比べればタイムは悪くなかったし、自分としても結構乗れている気がして、「走るのが楽しい!」と心から思いながらのドライビングを堪能できた日となったので、結構満足感は高かったです。

7月7日(日)DAY2

というわけで、DAY2のセッティングは、ブレーキが不安な状態なのに、あまりにお尻を振るのは不安だということで、まずは車高は元に戻す。空気圧をフロント2.1、リア2.2というセッティングで、姿勢をつくることにしてみました。

そしてブレーキ問題。ブレーキが利かなくなるのは、前回のモントレー大会で私が「サイドブレーキが利かない!」と訴えたのを受けて、リヤに利きの良いブレーキパッドを入れたため、リヤが先にロックしてABSが利いてしまっていることが発覚。悩んだすえにブレーキパッドもモントレーのときと同じ状態に戻すことにしました。私の走り方はサイドブレーキは最後の砦、コーナリングのきっかけには使っていないので、最後の最後利いてくれればそれでいいだけですからね。

画像1: 7月7日(日)DAY2

ということで、かなり安定して乗りやすくはなったんです。ただね、これがなぜかタイムが出ない……。昨日はおっかなびっくりが決まったということなのか、安定しすぎているのか、自分としては速く走れているつもりだけれど、タイムにはまったく反映されないんですよね。そしてブレーキは、昨日よりは利いているものの、やはりABS問題が勃発。特に距離が約23kmと長い、SS8ではかなり厳しい感じ。さらに、この長いSSでは途中でDSGが変速しなくなるというトラブルも勃発(たぶん熱が原因)。マニュアル操作で切り抜けましたが、やはりこれも解決したい事象ではあります。

画像2: 7月7日(日)DAY2

お昼のサービスで悩んではみたものの、結局は午後も同じセッティングで行くことにしてみたら、SS9はさらにタイムダウンする始末……。自分としては頑張ったつもり(!?)だったんですけどねぇ。さすがにSS10はタイムアップしたものの、これまたDSGのトラブルが勃発したりして、“乗りやすいけどタイムが出ない”“乗りにくいけれどタイムは出る”等々、今回のラリーはずっとセッティングに悩むことになりました。

次戦に向けて

2週間後に横手大会が控えているということを頭の片隅に置き、とにかく壊さないで帰るということだけは全うしたカムイ大会。でも抑えたとはいえ、自分なりに少しだけ走れるようになってきたことで、さらに自分なりにも攻めたい気持ちがムクムクと盛り上がってきました。つまり、またまたセッティングに悩むことになりそうです(笑)

画像1: 次戦に向けて

あとは直進状態でのクルマの安定性をもう少し上げたいのと(やはり機械式のデフが必要なのかもしれません)、DSGの熱対策をなんとかしなくっちゃ。そしてなによりいちばん改善すべきは私の走り方。どうも上りが苦手なんです。スピードを落とさずに上りコーナーをクリアする……この走り方を身に着けるのがタイムアップする最速の道なのは間違いなさそう! ちなみに下りが得意というのは、頭のネジがひとつふたつ飛んでる証拠みたいですよ〜(笑)

画像2: 次戦に向けて

「いくつになってもチャレンジはできる! 眠れなくなるほどの大きな夢を、竹岡圭と一緒に追いかけて、叶えてください~!」

(圭rally project 竹岡圭)

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