フォルクスワーゲン グループの研究部門で、自動運転の責任者を務めるDr. ヘイゲ・ノイナー氏が来日、自動運転分野におけるフォルクスワーゲン グループの取り組みについて話を聞いた。

画像1: 運転を見守る「ガーディアン エンジェル」とは?

フォルクスワーゲン グループが、自動運転車のスタディ「SEDRIC」を公開したのは2017年のジュネーブショーだ。SEDRICは「SElf DRIving Car」を意味する、ドライバーが不要な4人乗りのコンセプトカー。これが実現すれば、免許を持たない人でもカーシェアリングの利用が可能になるなど、タクシーに代わる便利な移動手段として期待されている。

その開発の責任者を務めるノイナー氏は、フォルクスワーゲン グループが自動運転車を開発する目的として「安全性の向上」「より効率的な走行」「快適性の向上」「インフラの有効利用」を挙げており、なかでも死亡事故など減らす有効な手段として開発を急いでいる。

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フォルクスワーゲン グループでは、2017年7月に発表した新型「Audi A8」で、量産車として初めてレベル3の自動運転(条件付き自動運転)を実現している。レベル3の自動運転では、ある条件下ではドライバーが走行状況を常時監視する必要はなく、システムに運転を任せることができる。もし、システムが手に余る状況が起こった場合にのみ、ドライバーが運転操作を行えばよい。

渋滞した高速道路という限定される条件のもとだが、Audi A8の「Audi AIトラフィックジャムパイロット」が、このレベル3の自動運転を実現する。残念ながら、現時点では法整備が追いついておらず、その機能を発揮できる国や地域がないのが現状だが、刻一刻とその実用化が近づいているのは確かだ。

画像3: 運転を見守る「ガーディアン エンジェル」とは?

ところで、レベル3の自動運転機能は全車標準装備というわけではなく、オプションとして提供されるようだ。高度なセンサーや複雑なソフトウェアを必要とする高価な機能だけに、搭載するかどうかはユーザーの選択に委ねるというのがメーカーとしての考えだ。

ただ、高速道路といった限定された条件下で安全性や快適さを提供するレベル3の自動運転機能に、どれだけの人がエクストラコストを払うかは未知数。一方、ドイツにおいては、乗用車が絡む交通事故による死者は、高速道路に比べて郊外の道路のほうが4倍以上となる。

そこで、レベル3の自動運転機能のために搭載される技術を使って、人が運転する郊外の道路で安全性を向上させ、オプション装備としての付加価値を高めようるのが「ガーディアン エンジェル(守護天使)」というアイディアだ。

画像4: 運転を見守る「ガーディアン エンジェル」とは?

ガーディアン エンジェルは、ドライバーの状態や挙動をチェックし、必要に応じてドライバーに警告したり、アシストを行う。

たとえば、ドライバーがカーブに気づかず、ステアリング操作を行わなかったり、減速しなかったときには、システムがドライバーに注意喚起を促す。それでもドライバーが反応しない危険な状況では、アシスタンスシステムにより事故のリスクを軽減する。

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これまでのドライバーアシスタンスシステムよりもさらに高いレベルで、安全運転を見守るガーディアン エンジェル。レベル3の自動運転機能とともに、早期の実用化が期待されるテクノロジーである。

画像6: 運転を見守る「ガーディアン エンジェル」とは?

(Text by Satoshi Ubukata)

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