090611vas008.jpg概要や試乗インプレッションはウブさんの記事を参照していただくとして、Q5をじっくり観察する機会を得たので、ライバルと目されるメルセデス・ベンツGLKと、BMW X3との比較を交えながら報告してみましょう。
090611vas002.jpg第一印象は、「コイツは売れそうだな」。ただし、「目の肥えた人には」という条件が付きます。つまり、輸入車に馴染みが深く、よいモノを選ぶ感性をもち、かつ積極的にそれらをライフスタイルに取り入れようというスタンスの人という意味です。なぜならQ5は、明らかにライバルたちとは一線を画す機能や性能、デザインをもち、それらが極端に主張することなく、嫌味なくまとまっているからです。このあたりはアウディらしさともいえる部分ですね。もちろん、売れそうだ......といってもアウディ全体の販売台数を牽引するようなモデルにはなりえませんが、購入したユーザーの満足度は、他のモデルよりも高いだろうということは容易に想像できます。つまり、Q5を所有することで得られる付加価値が他のモデルよりも多いともいいかえることができるのです。

エクステリアの特徴は数多くありますが、他車と一線を画しているのはルーフラインでしょう。GLKやX3が、いかにもクロスカントリーテイストの強いボクシーなキャビンをもっているのに対して、Q5は美しい弧を描くルーフラインが特徴です。これは、ライバルよりも垢抜けた都会的な印象を与えることに一役買っています。また、空気抵抗の少なさや高速走行時の安定性がイメージしやすいのも、こんな流線形フォルムの特徴といえます。

090611vas006.jpgもうひとつは、ボディサイドに描かれたキャラクターラインです。GLKやX3は、フロントフェンダーをラインのない曲面で構成し、前後ドアを中心にシャープなキャラクターラインが描かれています。それに対して、Q5はまったく逆。ボリューム感ある前後フェンダーには、その造形を強調するラインが刻まれ、前後ボディはラインのない曲面のみで構成されています。その違いを意識して改めて観察すると、ルーフラインと同様に土臭さを感じさせない理由のひとつとなっていることがわかります。また、前後ドアの美しい曲面は、A4をベースとしていることのメリット、つまり乗用車から乗り換えても違和感のないモデルであることを主張しているかのようです。

090611vas001.jpgこのような、他車とは異なる造形、しかもいわれなければ気付かないけれども、じつはこだわっている......そんなデザインは、所有する満足感を高めてくれるものです。自宅の駐車場からクルマを出すとき、買い物で路上のパーキングにとめたとき、いろいろな場面でクルマを見ることが楽しくなります。そして、見るたびに新しい発見があるかもしれません。高いお金を支払った代償は、走行性能だけではないのです。

090611vas003.jpg次に、インテリア。上質な素材を用いて、決して華美ではないデザインでまとめている......これは、アウディすべてに共通するテイストで、Q5にも踏襲されています。老若男女、あらゆるユーザーが身を置いて快適と感じる空間。そんな視点でインテリアを観察すると、やはりアウディはライバルに対して一歩抜きんでているという印象ですね。

090611vas005.jpgさらにライバルたちとの大きな違いは、後席にリクライニングと前後スライド機能が与えられているという点です。ずいぶんベタな機能に着目したなぁと思われるかもしれませんが、SUVのリアシートは意外にも軽視されがちな傾向にあります。そんな中Q5は、同じセグメントのSUVとしては、こだわった作りをもっています。基本的には兄貴分のQ7と同じですが、よりコンパクトなQ5には有り難い機能です。

090610kiku012.jpgSUVに乗るユーザーたちは、後席の居住性に対して過度な期待はしていないケースが多いものです。いくら高級SUVが「サルーン並みの居住性」を謳っていたとしても、制約のあるキャビンとラゲッジルームを両立させるためには、後席の居住性がスポイルされてしまいます。とくにリクライニング機能のないモデルの場合は、ラゲッジルームを有効活用するためにシートバックは立ち気味になります。さらに、ステーションワゴン的に使うために折畳み機能を与えるならば、勢いシート形状はフラットになってしまいますから、その点でも快適性は損なわれてしまうのです。ところが、Q5はシートバックの形状も適切ですし、2段階のリクライニング機能により、快適性と実用性を両立させています。GLKやX3と比べると、快適性では明らかにQ5に軍配が上がります。居住性を最優先して作られたレクサスRXにも匹敵する空間であるといえるでしょう。

090611vas009.jpgラゲッジルームの優れている点は、ゴルフのキャディバッグが4本、横に積めるということでしょうか。カタログには記載されていませんが、実際に8インチサイズのバッグを入れてみたところ(もちろんドライバーは抜いていません)、多少窮屈ながらも4本収納できました。とくに日本の高級車ユーザーは、「キャディバッグは何本入る?」ということを気にする方が、いまだに少なくありませんね。「4名乗車でゴルフに行くことなんてあるの?」と聞きたくなりますが、彼らにとっては、それがクルマを選ぶ際のモノサシのひとつとなっているのでしょう。

090611vas004.jpg搭載されるエンジンは、直列4気筒2LターボとV型6気筒3.2Lの2タイプです。どちらも直噴エンジンで、環境性能と燃費を十分に考慮されたユニットですが、それとともにパフォーマンスを両立させていることがアウディのすごさです。とくに2Lエンジンは、「このボディにこの排気量はいかがなものか」と思われる節もありそうですが、実際に乗ると低回転から発揮する太いトルクや軽いフロントノーズによる軽快感に、とても好感をもちました。重厚感という意味では3.2Lに軍配が上がります。発進直後から味わえる滑らかでシットリとした走り味は、上質なサルーンに乗っていると錯覚するほどです。このように、2つのグレードが明確に異なるキャラクターをもっていることも、Q5の特徴ですね。

090611vas007.jpgもうひとつ、ラフロードを走破するための最先端機能が搭載されていますが、そのどれもが、乗員に恐怖感を与えない制御であるという点がアウディらしさであり、ライバルに対するアドバンテージとなっています。たとえば、ヒルディセントアシストという急坂をドライバーのコントロールなしで下れる機能があります。他車に搭載される同様の機能でも最後まで安全に走破するという結果は同じながら、走行中のプロセスに大きな違いがあるのです。つまりQ5は、電子制御の作動音や振動がほとんど皆無であるため、乗員が覚える不安感や恐怖感がほとんどありません。つまり乗員は、どんな走行条件でも安心して快適なドライブを満喫できるというわけです。Q5の走行性能について数多くのメリットが語られていると思いますが、やはりつねに安心・安全・快適なドライブを実現できるという点こそが、最大のアドバンテージでしょう。

と、まるでセールスマニュアルのような記事になってしまいましたが、ここに記したことはすべて事実です。ライバルとの比較も客観的かつ公平な目線ですので、プレミアムSUVを検討される方は、ぜひ参考にしてみてください。

(Text by S.Kikutani)


◆菊谷 聡(きくたに さとし)
輸入車ディーラー、自動車専門誌編集部を経て、現在は編集プロダクションを経営するかたわらエディターおよびライターとして活動。おもに自動車専門誌および一般誌に自動車関連記事やライフスタイル関連記事を寄稿。また、自動車を絡めたライフスタイルを中心とした講演、自動車メーカーのセールス研修コンサルタント&インストラクター、企業オーナーのパーソナルコーチとしても活動中。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)理事。


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