090930-A5Cab-01.jpg夏が終わると、オープンカーの季節がやってくる。秋、冬、春と続くこの待ち焦がれたシーズンに、良きパートナーとなってくれそうなのが、新登場のアウディA5カブリオレ。

果たして、期待どおりのモデルだろうか?

ミディアムクラスのオープンカーとして、ドイツから送り込まれてきたアウディA5カブリオレ。日本では旧型A4をベースとしたA4カブリオレが2002年に導入されたが、その後販売が終了してからは、しばらくこのクラスのオープンカーが途絶えていた。

約3年ぶりに復活したのは、A5クーペをベースに、ソフトトップにより4シーターオープンに仕立て上げられたA5カブリオレ。日本では、3.2L V6 FSIエンジンを搭載する「A5カブリオレ 3.2 FSIクワトロ」が784万円という価格で販売されている。

クルマの概要は090930-A5Cab-04.jpgクルマを前に真っ先に試したのがソフトトップの開閉。資料によれば、リモコンキーでソフトトップの開閉ができるとういうから、これは試してみるしかない!

というのも、いままで乗ったカブリオレで、そんな芸当ができるクルマはなかったからだ。
A5カブリオレの傍らに立ち、リモコンキーの解錠ボタンを長押しする。最近のアウディやVWならロックが解除され、続いて窓が開くというのがお約束だ。このA5カブリオレは......あれっ、窓は開くけど幌はそのまま!? そんな......。

そこで取説を引っ張り出すと、ソフトトップの開閉にはコツがあることがわかった。リモコンの解錠ボタンを1回押し、その後、間髪入れずに同じ解錠ボタンを長押しするのだ。そのとおりやってみると、当然のことではあるが、ソフトトップが見る見る開いていく。ふつう、自分のクルマのソフトトップが開いていく姿なんて見ることはないから、とても得した気分だ。なにより、そのドラマチックな演出が、これから始まる楽しい時間への期待を高めてくれる。

ソフトトップを閉じるときは、施錠ボタンひと押し→長押しという手順だ。なお、セキュリティの観点からか、クルマから離れすぎるとリモコン操作ができなくなる。故障ではないのでご心配なく。

090930-A5Cab-03.jpgソフトトップを再び閉めて、いよいよ試乗開始。まずは、クローズド状態での快適性をチェックする。

日本仕様のA5カブリオレには、本国ではオプションの「アコースティックソフトトップ」が標準装備されている。その実力を試したかったのだ。
最近、メタルトップのオープンカーが増えているが、そのメリットとしてよく謳われているのが"クーペなみの静粛性"だ。 それは、裏を返せば「ソフトトップでは静粛性は期待できない」ということだろう。しかし、美しいフォルムを重視したいアウディとしては、ソフトトップは外せないので、ソフトトップでも静粛性に優れるアコースティックソフトトップを採用したというわけである。

実際、走り出してみると、確かにいままでのソフトトップとは段違いに、外の世界と隔絶されているのがわかる。窓も幌も閉めているのに、どこからか音が入ってくる感覚が、このA5カブリオレにはないのだ。ノイズのレベルも、クーペと同じとはいかないまでも、十分静か。幌の内側の仕立ても上質で、短時間の試乗ではこれといって不満も見つからなかった。
  
090930-A5Cab-02.jpgセンターコンソールのボタンを長押しするだけで、15秒後には天井が消え失せ、無限大のヘッドスペースが現れた。

サイドウインドーを下げると、さらに開放感は増し、スピードが上がるにつれて、風がキャビンを吹き抜けていく。
気温が低い季節には、サイドウインドーを上げ、ヒーターやシートヒーターを活用すればいい。ただし、オープン4シーターにはよくあることだが、このA5カブリオレは、サイドウインドーを上げても、70km/hあたりから後席からの風の巻き込みが目立ってくる。これを防ぐのが、後席に付ける"ついたて"、いわゆるウインドディフレクターなのだが、このA5カブリオレには用意されないのが残念(本国ではアクセサリーとして用意される)。早急に対応してほしいものだ。

走りの部分では、クーペよりも200kg強もボディ重量が増したのと、トランスミッションをSトロニックに変えたからだろう、同じエンジンを搭載するA5クーペに比べるとやや出足が鈍く思えたが、走り出してしまえば不満のない加速を見せてくれる。乗り心地は、カブリオレにありがちな嫌な硬さがなく、重厚で落ち着いている。そして、驚くべきはそのハンドリングで、A5クーペやA4のクワトロモデルに負けず劣らず、なかなか鋭い回頭性を示し、ワインディングロードでも退屈することがなかった。

ソフトトップのカブリオレならではの美しさに加えて、メタルトップに劣らぬ快適性も手に入れ、さらに、その気になればスポーツモデル顔負けの爽快な走りを見せてくれるA5カブリオレ。値段は張るが、こんなクルマと暮らしてみたい!と思わせる魅力が、そこかしこに散りばめられたモデルである。

(Text by S.Ubukata)

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