100123-A5SB-04.jpgA5クーペ、A5カブリオレに続く第3のA5が、"スタイリッシュ4ドアクーペ"を名乗るA5スポーツバック。

その魅力は、エレガントなフォルムにとどまらない。

1月13日、A5スポーツバックが待望の日本デビューを飾った。クルマの概要については100123-A5SB-03.jpgドライバーズシートに身を置くと、インストゥルメントパネルのデザインもA4ではなく、A5クーペのそれを踏襲していることに気づく。ただ、ドライビングポジションはA5クーペほどは低くなく、乗り込んでしまえばクーペという感覚は薄い。
100123-A5SB-05.jpgA5スポーツバックには大型のテールゲートが備わるが、そこで心配になるのがボディ剛性の低下。ところが、というか、当然のことながら、走り始めると、ボディがしっかりしているのがすぐにわかった。フロアの後半に施された補強など、ボディ剛性の確保に抜かりはなかったのだ。
気をよくしたのはそれだけではない。予想以上に乗り心地がいいことに驚いた。タイヤが標準より1インチアップとなるにもかかわらず、タイヤがドタバタしない。やや硬めのシャキッとした足まわりが不快なショックを伝えてくることもない。別の機会にS-lineパッケージ+アウディ ドライブセレクト付き(タイヤは標準の18インチ)のクルマも試乗したが、こちらもやや硬めながら十分な快適さを確保していた。残念ながら"素"のA5スポーツバックに乗ることはできなかったが、いままでの経験からすれば、さらに快適であるに違いない。

100123-A5SB-01.jpgこの日はあいにくの空模様だったため、いつもよりペースを落としての試乗になったが、それでもコーナーでの身のこなしは実に俊敏だ。この辺は、A4、A5シリーズと共通の性格。A5スポーツバックはA4と同じホイールベースだが、動きそのものはA5クーペに近い感覚だ。ワイドなトレッドや低い重心が効いているからだろうか?
実は別の日に、前述のS-line仕様をサーキットで乗ることができた。アウディドライブセレクトの「ダイナミックモード」は、一般道で乗るにはステアリングが重たいし、足まわりも硬すぎるのだが、サーキットを操るにはぴったり! 驚いたのはそのスポーティさで、コーナーでステアリングを切ると、落ち着き払ったリアとは対照的に、ノーズがズバッとインを向き、安定感を失うことなく、面白いようにコーナーに入っていく。コーナー出口でアクセルペダルを踏み込んでいけば、踏ん張るリアがクルマを前に押し出すが、アンダーステアもオーダーステアも出さずに、気持ちよくコーナーを駆け抜ける。

350Nm(35.7kgm)の最大トルクを1500〜4200rpmで発揮する2.0 TFSIだけに、コーナーの立ち上がりでも加速に余裕がある。1730kgと見ため以上に車両重量はあるが、それを感じさせないのも、このクルマの凄いところだ。さらにうれしい発見は、2.0 TFSIの進化。導入当初の2.0 TFSIは、状況によってはアクセルペダルを踏み込んでもすぐにエンジンが反応しないため、運転がギクシャクすることがあった。ところが最新の2.0 TFSIでは、この癖が上手く解消されていた。Sトロニックのマナーも向上しているようで、パワートレインの進化が見て取れる。

期待以上の走りを見せてくれたA5スポーツバックだが、自慢の機能性はどうだろう? まずはラゲッジスペースをチェック。数字こそセダンと同じ荷室容量だが、テールゲートがあるおかげで、奥の方にある荷物に簡単に手が届き、積み降ろしがラクなのがいい。私がワゴンやハッチバックを好むのは、広大な荷室容量よりも、むしろこの便利さを手に入れたいからなのだ。ワゴンのラゲッジスペースを滅多に満たすことのない私なら、A5スポーツバックのようなスタイルのほうが理想的かもしれない。

後席のスペースも、身長168cmの私には十分な広さだ。ただ、視覚的には天井からの圧迫感を覚えるし、A4に比べるとシート位置が低いため、膝がすこし立ち気味になるのが気になった。後席に大柄な大人を乗せる機会が多いならA4を選んだほうが無難かもしれないが、後席に乗せるのが子供だったり、また、そう頻繁に大人を乗せるのでなければ、困ることはないだろう。唯一の弱点になりそうなのが、4名という乗車定員。後席にゆとりをもたらすための措置なのかもしれないが、つい最近、パサートCCが5人乗りを用意したように、このA5スポーツバックにも5人乗りバージョンを設定してほしいものだ。

100123-A5SB-02.jpg幸いわが家は4人家族なので、A5スポーツバックでも問題はないし、クーペに比べたら後席へのアクセスが圧倒的に便利なこのクルマは、とても実用的かつ現実的だ。なにより、このスタイリッシュなフォルムには抗しがたい魅力がある。これまで"アバント派"だった私も、いまやすっかりスポーツバック派に宗旨変えである。
(Text by S.Ubukata)

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