141005-BMW2-01.jpgBMW 2シリーズ・アクティブツアラーの発表会に出席した。ものすごく丁寧にクルマを説明するとても長い発表会だ。説明に耳を傾けながら、新しいiPhone6プラスの原稿の書きやすさがいかほどのものか、テストする意味で、この原稿を書いている。
斜め前に生方編集長が座っているのが見え、振り向いて「最近オマエ、全然原稿書かないな」という顔をしたような気がしたからではない。ともかく、深くない代わりに早い考察として読んでいただけたらうれしい。なぜそれをこのサイトで展開するのか。それはこの新型BMWが、フォルクスワーゲンのお株を奪う可能性のあるクルマだからだ。

BMWとして初めてのFWD車ということが注目を集めたのか、実用車にしては報道陣の数は多めに見えた。第一印象は......BMWっぽくない。BMWが新しいカテゴリーに打って出たんだからそれも当たり前のことだ。この会社はX3、X5などのいわゆるSUVをSAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)、クーペライクなSUVであるX4、X6をSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と呼ぶなど、オリジナルのカテゴリー名を与えるのが好きだ。今度の2シリーズ・アクティブツアラーはSAT(スポーツ・アクティビティ・ツアラー)なるカテゴリーに分類するらしい、ま、彼らの自由だ。

それにしても、全長が短く、車高が高い、サイズのわりに高い実用性を誇るFWD車をBMWがつくるなんて......。しかもFWD。BMWにはミニがあり、いろいろなバリエーションのFWD車をラインナップする。FWD車ならミニ・ブランドでやればいいじゃん! と思わないでもない。ただ、2シリーズ・アクティブツアラーはとてもまじめな性能と装備が自慢の実用車のようで、大まじめにふざけるのが得意なミニブランドにはそぐわないのかもしれないなと思った。

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ひとことで言うと背高コンパクト。かつてのゴルフ・プラスのようでもあるし、ちょうど間もなく入ってくるシトロエンC4ピカソの短いほうのようでもある。コンセプトとしては大昔からある、フォルクスワーゲンや日本メーカーが紀元前から取り組んできたカテゴリーだ。BMWは自分たちのアセットであるドライビング・ダイナミクスをきちんと盛り込みながらこの実用車を開発したと胸を張るが、長年にわたって、こういう「ザ・生活感」とは一線を画すクルマを取り揃えてきたのがBMWのアセットではなかったのか、と思わないでもない。

BMWのことだから、乗らなくてもいい出来栄えなんだろう。1.5リッター3気筒ターボは力強いわりに燃費がいいということは新型ミニでわかっているし、2リッター4気筒ターボは十分以上に速くて、しかも4気筒はxDriveだからオールラウンダーっぽさ満点で魅力的だ。BMWは新しい柱としてiシリーズを展開中だが、ディーラーで話題のi3を見て、しかしいろいろと説明を聞き、結局はこのアクティブツアラーを買って帰るというパターンが少なくなさそうだ。

実用車メーカーのフォルクスワーゲンはどんどん高品質になってグループのアウディを含めプレミアム・ブランドを脅かす。レクサスも十八番のエンジン横置き+モーターのプレミアム・コンパクトを充実させる。ならばとメルセデス・ベンツもA、B、CLA、GLAとエンジン横置き兄弟を充実させて、ゴルフクラスに打って出る。BMWだけが黙っているわけもなく、この2シリーズ・アクティブツアラーでコンパクト戦線に突入したという図式なのだろう。どこもフルラインに近づいていく。世界中のブランドがここへきて「いつかはクラウン」的ビジネスを目指し始めたということだろうか......。

という疑問がわいたところで発表会が終了した。乗る機会を得たらあらためてどこかで報告したいと思うが、FWDのBMWがフォルクスワーゲン/アウディのコンパクトの好敵手になるのは間違いなさそうだ。

(Text by S.Shiomi)

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