100325-GolfTL-01.jpgフォルクスワーゲン グループ ジャパンは、3月25日、ゴルフのエントリーグレード「ゴルフTSIトレンドライン」を発表した。発売は4月9日。1.2L TSIエンジンを搭載する。
※モデル紹介のあとミニインプレッションあり!

ゴルフ6が登場したとき、直前まで存在したエントリーグレード「ゴルフTSIトレンドライン」がなくなり、「TSIコンフォートライン」と「TSIハイライン」の2本立てになったのを不思議に思った人は多いだろう。そこで、「さては、あとからトレンドラインが追加になるんだな」と考えた人は大正解! やはり、トレンドラインは存在したのだ。

TSIでエンジンのダウンサイジングを図り、低燃費と高性能の両立をめざすフォルクスワーゲン。1.4TSIツインチャージャー、1.4TSIシングルチャージャーときた流れは、さらに小排気量の1.2リッターTSIシングルチャージャーで完結し、これが新型ポロに搭載されるのは皆さんもご存じのはず。発売前から注目は高いようだが、その1.2TSIがゴルフのエントリーグレード、ゴルフTSIトレンドラインに搭載されて、ひとあし先に日本に上陸した。

100325-GolfTL-03.jpg
1.2TSIの最高出力は105ps/5000rpmと、1.4TSIシングルチャージャーよりもさらに控えめ。これは、旧型「ゴルフE」の1.6Lエンジンより11psも低い数字である。ボンネットを開けると、隙間たっぷりで、全然見映えが良くない。
しかし、エンジンは見た目やパワーよりも、トルク特性が重要である。1.2TSIの最大トルクは17.8kgmとゴルフEの1.6Lエンジンを上回るうえに、わずか1550rpmから最大トルクを発揮するという。このエンジン、期待以上の仕事をしてくれそうだ。

見た目がしょぼいのは、このエンジンがSOHC2バルブを採用するからだ。もちろん、これには訳がある。軽量化とフリクションの低減に効くのだ。実際、この1.2TSIは、1.4TSIシングルチャージャーに比べて24.5kgも軽い。シリンダーヘッドだけでも3.5kgの軽量化だ。ちなみに一番効いているのが、アルミのシリンダーブロックで14.5kg軽いという。一方、SOHCとしたことで動弁系が簡素化され、機械損失の低減に貢献。ピストンも、軽量・低フリクションが図られている。これにより、潤滑系の負荷が減ってオイルポンプも小型化が可能となり、そのためのパワーロスも少なくなったという。

SOHC2バルブに最適な燃焼室形状や、吸気ポートを新開発し、燃焼効率の効率を目指した。過給システムは、1.4TSIシングルチャージャーとほぼ同じだが、この1.2TSIではウェイストゲートバルブのコントロールを油圧式から電気式に変更した。これにより、過給圧の立ち上がりが早くなり、また、バルブの精密な制御で過給圧を一定に保ち、低負荷時の燃料効率を高めている。最大過給圧はプラス0.9バール(絶対過給圧1.9バール)だ。

見た目とことなり、実はなかなかハイテクな1.2TSIなのだ。7段DSGと組み合わされて、注目の10・15モード燃費は17.0km/L! 旧ゴルフEの6ATよりも4.2km/L、なんと33%も向上している。排ガスは、いわゆる四つ星の性能で、コンフォートライン同様、エコカー減税(78%減税)対象車になっている。その額11万6400円。さらに、購入補助が25万円または10万円受けられ、翌年の自動車税も半額になる。"フォルクスワーゲン報道官"が、いままでにも増して、声高にアピールしそうだ(苦笑)。

100325-GolfTL-04.jpg100325-GolfTL-05.jpg
価格は257万円。トレンドラインという名前が示すように、装備の簡素化も図られていて、レザーステアリングホイール/シフトレバー、アルミホイール、オートエアコンなどが省かれている。

100325-GolfTL-02.jpgそんなゴルフTSIトレンドラインに、ひとあしお先に試乗してきた。結論から先にいえば、この1.2TSI、ふだん乗るなら、1.4TSIシングルチャージャーに引けを取らない。
その実力は、走り出してすぐにわかる。クリープこそ1.4TSIシングルチャージャーより弱めの印象だが、アクセルペダルを軽く踏むだけで、クルマはすっと前に出て行く。7DSGのギア比はゴルフTSIコンフォートラインと同じなのに、200ccのハンデなど微塵も感じさせないのだ。これも低速から素早く効くターボのおかげで、感覚的には2リッタークラスの余裕である。1500rpm以下の低回転からずっと、十分なトルクを発揮し続けるのだから、街中で加減速する場面でもストレスとは無縁だ。高速や山道の登りでも、期待以上に力があって、不満のない加速を見せる。さすがに、アクセルを深く踏む場面では、1.4TSIシングルチャージャーより少し遅いなあと思うし、5000rpmを超えてからは加速が徐々に鈍ってくる。けれども、ふだん乗るときは滅多に全開加速などしないわけだから、この1.2TSIで十分なのだ。

乗り心地も軽快だ。195/65R15タイヤ+スチールホイールを履くトレンドラインは、タイヤの"あたり"が少し硬めだけど、バネ下重が軽いおかげで乗り心地はよく、また、ノーズが軽いこともあって、コーナーでの身のこなしが軽やかだ。

燃費は、厳密にチェックしていないが、オンボードコンピュータではコンフォートラインよりもいい数字が出ていた。ただし、コンフォートラインを大きく引き離すというほどではない。

それにしても、エントリーグレードでありながら、とても高い実力を持つゴルフTSIトレンドライン。悩みどころは、上位グレードのコンフォートラインとの価格差が21万円ということ。コンフォートラインならアルミホイールやレザーステアリングがついているからなぁ...。ちなみに僕なら、トレンドラインにして、あとからコンフォートライン用のレザーステアリングとA3用のシフトレバーを手に入れるという作戦に出るだろう。スチールホイールはこのままでもいいし、出物があれば15インチのアルミを買う。スチールホイールはスタッドレス用になるし......。なあんて妄想が楽しい、ゴルフTSIトレンドライン。このエントリーグレードが加わったことで、ゴルフの布陣はクラス最強になったと断言できる。

(Text by S.Ubukata)

This article is a sponsored article by
''.