130513-GTI-87.jpg新プラットフォーム「MQB」やパワーアップした2.0 TSIエンジンが、ゴルフGTIの走りをどう変えたのか?

ドイツ〜オーストリアのテストドライブでチェックする。

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試乗車として用意されていたのは、6速マニュアルと6速DSGのゴルフGTI。いずれも、DCCとドライビングプロファイル機能が搭載され、足元は標準の225/45R17からオプションの225/40R18サイズにインチアップされていた。つまり、走りに関わるオプションが"全部載せ"の仕様である。

1秒でも早く試乗したい......。そんな気持ちとは裏腹に、すぐさま運転席に座りたがらない自分がいる。実はゴルフ7に乗るのはこれがはじめて! それだけに、GTIに乗る前に、ふつうのゴルフ7を確かめておきたかったのだ。

しかし、結論からいえば、ゴルフGTIが先でよかった。そのぶん、MQBプラットフォームの有り難みが浮き彫りになったのだから。

その有り難みとは......。

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走りだして真っ先に感じたのは、ゴルフGTIの軽さである。マニュアルで1351kg、DSGで1370kg(いずれも2ドアのベースモデルの数字)の車両重量は、旧型に比べて42kg軽くなっているが、その数字以上に動き出しや身のこなしが軽快なのだ。

この感じ、覚えがあるなぁと記憶を辿ると、2代目アウディTTが思い浮かんだ。アルミとスチールを用いたハイブリッド構造のボディによって軽量化を果たしたTTも同じように軽快で、軽さの恩恵を実感したのだ。

車両重量の低減に加えて、エンジンの性能アップもゴルフGTIの軽快さに一役買っている。旧型に比べてパワーは10ps増に過ぎないが、トルクは70Nm(7.1kgm)ものアップ。おかげで、アクセルペダルを踏み込んだときの力強さが目に見えて逞しくなり、軽量化されたボディをさらに素早く加速させる。

アウトバーンの合流でアクセルペダルを床まで踏みつけると、フラットなはずのトルク特性にもかかわらず、3000rpmを超えたあたりから盛り上がりを見せ、そこからレブカウンターに赤い帯が記される6000rpmまで、力強く、そしてスムーズに回転を高めていく。それを超えると、さすがに多少の頭打ち感があるものの、それでも6800rpmで緩やかにレブリミッターが効き始めるまで、律儀に加速を続けるのだ。

その際のサウンドは、従来に比べると控えめに思えるが、それはゴルフ7の優れた遮音性によるところが大きい。事実、撮影のためにクルマを降りて、ゴルフGTIの走りを眺めていたら、多少ボリュームは小さくなってはいるが、相変わらず乾いたエキゾーストノートがギャラリーの耳を楽しませてくれる。

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DCCは、タッチパネル式のナビゲーション画面でその特性を選ぶことができる。コンフォート、ノーマル、スポーツのうち、まずはノーマルを試してみると、乗り心地はやや硬めとはいえ快適性は十分に確保されている。フラット感に富み、一般道からアウトバーンまで、基本的にはこれひとつでカバーしてしまう。コンフォートモードに切り替えるとややピッチングが目立つようになるが、未舗装路などでは有効だろう。

拍子抜けしたのがスポーツモードで、覚悟したほどハードではなく、ノーマルとの格差が小さいぶん、その使い分けに悩むほどだ。裏を返せば、ちょい硬めのスポーツモードでも、日常的に使えるということだが、個人的にはもう少しメリハリがあってもいいと思う。

ハンドリングについては、そこまでコーナーを攻めるチャンスがなかったが、そこそこのペースで走るかぎりはアンダーステアが顔を出すことはなく、思い描いたラインがトレースできる。FFとかFRとかの議論は、このゴルフGTIの前では意味がない。

高速中心のドライブで気になったのが直進安定性。120km/hを超えたあたりから、ゴルフらしいピシッとした感覚が薄れていくのだ。それでも、200km/hあたりまでさほど不安なく運転できるのだが、これが装着されていたポテンザS001によるものかどうか、機会があれば別のタイヤで試してみたい。

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130513-GTI-64.jpgところで、おそらく日本には湿式6速のDSG仕様のみが導入されるはずだが、その素早いシフトは相変わらず。スポーツモードではシフトアップのポイントが高くなるととも、シフトアップ/ダウン時のサウンドが派手になるなど、スポーティな演出も忘れてはいない。
一方のマニュアルは、ゴルフボールデザインのシフトレバーがうれしいものの、ブレーキペダルと吊り下げ式に変更されたアクセルペダルとの間隔がやや広く、高さの差も大きいため、"ヒール・アンド・トゥ"がやりにくく、せっかくのマニュアルの楽しさが削がれてしまう。

当然DSGでも吊り下げ式のアクセルペダルを採用。マニュアルほどは気にならないが、操作性を重視してゴルフ5の時代にオルガン式に変更されたアクセルペダルが、ここにきて吊り下げ式に戻ったのは、"コストダウン"の文字が見え隠れするだけに残念でならない。

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とはいえ、気に入らないところはそのくらいのもので、トータルでは実に良くできたスポーツモデルに進化している。ゴルフGTIの開発陣が目指したのは「日常のスポーツ」。新型もまた、狙いどおりのクルマに仕上がっている。

その一方で、ますます優等生的になったのも確かで、もう少しアクが強くてもいいのではないか......というのが個人的な感想だ。

そんな期待に応えれてくれるゴルフGTIが用意されていた。それこそが「ゴルフGTIパフォーマンス」なのだ。

後編につづく......

(Text by S.Ubukata / Photos by Volkswagen Group Japan)

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