140912-GTE-1.jpg2014年末にまずはドイツから販売がスタートする「ゴルフGTE」をスイスで試乗。その走りはスポーティかつプレミアム!
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さらにGTIとの違いを実感するのがメーターパネルだ。独立2眼のレイアウトこそ共通だが、回転計の代わりに"パワーメーター"が配置されているのだ。また中央のマルチファンクションディスプレイに、エネルギーの流れを示す"エネルギーフローインジケーター"が表示できたり、電気だけで走行可能な距離を示す"レンジモニター"が右下に表示されるなど、GTE専用のデザインが施されている。

さっそくセレクターレバー脇のスタートボタンを押すと、OFFの位置にあったパワーメーターの針が"ニードルスイープ"の儀式後に0へとたどり着き、ポーンというチャイムが鳴る。マルチファンクションディスプレイの左下にはREADYの文字がグリーンに点灯。これで走行の準備が整った。

セレクターレバーでDレンジを選択してアクセルペダルを踏むと、ゴルフGTEは静かに、そして、スムーズに走り出した。システム始動後、なにもしなければEモードにセットされているので、まずはEV走行を楽しむことにする。

低回転から力強いトルクを発揮するのが電気モーターのアドバンテージだが、このゴルフGTEでもそれが実感できる。車両だけで1524kg、ドライバーとパッセンジャーあわせておそらく1600kg台後半という状態のはずだが、発進から力強く、低中速で走る街中も加速には十分に余裕があるのだ。しかも、エンジンと違って、アクセルペダルに載せた右足の動きに即座に反応するのが、なんとも気持ちがいい。

140912-GTE-8.jpg走行中のキャビンは、タイヤが発するロードノイズが主役になり、モーターの音はほとんど聞こえてこない。一般的なEVと異なり、ゴルフGTEではモーターのみで走行しているときでもDSGが適切なギアを選択しているので、モーターの回転が低く抑えられるのもその一因だろう。普通のゴルフ同様、マルチファンクションディスプレイには現在使われているギアが表示されているが、いつシフトアップしたのかまったく気づかないほどシフト動作はスムーズである。

しばらくして高速道路に入りスピードを上げていくが、100km/hを超えるあたりまではストレスのない加速が味わえる。さすがにEV走行での最高速度である130km/hに近づくと加速が鈍り、130km/h付近では加速を止めるのだが、日本の交通環境ならEモードだけで十分楽しい走りが体験できるだろう。なお、アクセルペダルを床まで踏み込まないかぎりはEモードを維持するので、ドライバーの意図に反してエンジンがかかることがない。

ちなみに、モーターを発電させて運動エネルギーを回収する"回生ブレーキ"は、ブレーキペダルを踏んだときやアクセルをオフにしたときに効くのだが、Dレンジのときはアクセルをオフにしても回生ブレーキが効かない設定になっている(ただし、GTEモードを除く)。高速を走行するときなど、アクセルペダルを戻しても回生ブレーキが効かないようにしたほうが、車速が維持できて都合が良いからだ。

一方、エンジンブレーキならぬ回生ブレーキが必要なら、セレクターレバーでBレンジを選ぶか、パドルなどを使ってマニュアルシフトすればいい。そうすると、アクセルペダルを戻したときに回生ブレーキが効くので、スピードコントロールがしやすくなる。ゴルフGTEの場合、アクセルペダルを戻したところですぐに停止するほど強力な回生ブレーキとはならないが、アクセルペダルの微妙な踏み方で加減速をコントロールすることはできるので、ガソリン車に比べると走行中にブレーキペダルを踏む機会は格段に減るはずだ。

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そんな調子で高速を20kmほど走ったが、レンジモニターはまだ10km強を示していた。私の場合、都内の通勤は往復30km強なので、このGTEなら自宅での充電だけでゼロエミッション通勤ができそうである。

それにしても、このゴルフGTE、乗り心地がいい! 試乗車はオプションの18インチホイールと225/40R18サイズタイヤを装着しており、荒れた路面では多少バタつくことがあるものの、それ以外のほとんどのシーンでは快適かつ重厚な乗り心地を示している。

プラグインハイブリッド化にともなう重量増に対応するため、サスペンションを強化しているにもかかわらず、ストロークを拒むようなただ硬いセッティングではなく、また、ボディが鈍重な感じがしないのは、日本メーカーのそれとは大きく異なるところだ。

日本では17インチが標準で、オプションで18インチとDCCが組み合わされることになりそうだが、DCCなしの18インチでこれだけ快適なのは驚きである。ゴルフGTEの上質な乗り心地は、プレミアムカーの域に達しているといっても過言ではない。


(Text by S.Ubukata / Photos by Volkswagen AG, S.Ubukata)

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