160617-Passat%20GTE-23.jpgパサートシリーズの上級グレードとして追加されたプラグインハイブリッド車「パサートGTE」に試乗。さらに、フォルクスワーゲン初の「アクティブ インフォ ディスプレイ」も試した。
新型パサートが日本に上陸してまもなく1年になろうという2016年6月、フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)はその上級グレードをラインアップに追加した。それが、プラグインハイブリッド車の「パサートGTE」だ。

その名前からも察しがつくように、このクルマは「ゴルフGTE」に端を発した「退屈なハイブリッドに、終わりを告げる」新しいエコカーの第2弾。その概要については、160617-Passat%20GTE-1.jpg
今回試乗したのは、最上級グレードの「GTEアドヴァンス」で、装備充実の標準仕様に、フルデジタルメーターの「アクティブ インフォ ディスプレイ」をはじめ、ヘッドアップディスプレイ、ナパレザーのパワーシート、アダプティブシャシーコントロール「DCC」などを追加したアップグレード仕様だ。

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まずは日本初お目見えのアクティブ インフォ ディスプレイに注目。すでに同じグループのアウディでは「バーチャルコックピット」と呼ばれるフルデジタルメーターを日本仕様に用意しているし、最近は大型液晶パネルを使ったメーターが続々と登場しているので目新しいわけではないが、フォルクスワーゲンファンのひとりとしては「ついにフォルクスワーゲンでも!」と感慨を覚えたのも事実だ。

デジタルメーターだけに、さまざまなパターンのなかから好みの表示を選ぶことが可能。左下の「クラシック」は、内側の円のなかに何も表示されないシンプルなデザインが特徴。一方、右下は地図とともに円内にはナビゲーションの案内が表示される「ナビゲーション」。

ちなみに、どのパターンでも中央に地図を表示させることは可能で、他にも走行データやエネルギーフロー、アシスタンスなどが選択できる。地図では表示領域を広げることもできるが、縮尺が選べないのが惜しい。

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下は「燃費&走行可能距離」(左下)と「効率」(右下)。右側の円内が航続距離かゼロエミッション走行比率かという違いで、左側の円の内側に平均燃費、そのまわりに瞬間燃費が表示されるのは共通である。

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さらに、このパサートGTEでは、走行モードにあわせて表示が変わる。

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160617-Passat%20GTE-10.jpg左上が電気モーターで走る「Eモード」。そして、右上が1.4 TSIと電気モーターによりスポーティな走りをもたらす「GTEモード」だ。
そして下の写真が「ハイブリッドモード」に切り替えたときの様子。左のメーターは、エンジンの回転数と電気モーター出力、そして、回生ブレーキで回収する電力を示すパワーメーターだ。

エンジンの回転数は画面上で0の位置を差している針が示し、モーターと回生ブレーキは青いバーとグリーンのバーで表示される。見た目には面白いが、このパワーメーターにかぎれば従来のアナログ式のほうが見やすいな、というのが個人的な感想である。

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ちなみに、パサートGTEでは200Vの充電プラグはVWマークの裏ではなく、横の蓋を開けたところに挿すことになる。また、GTEアドヴァンスには、215/55R17に代えて235/45R18のモビリティタイヤ(シールタイヤ)が装着される。

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前置きはこのくらいにして、さっそくスタートボタンを押し、パワートレインを起動すると、基本的には電気モーターで走る「Eモード」がスタンバイ。セレクタレバーでDを選び、アクセルペダルを踏んでやれば、電気モーターらしいスムーズで力強い発進を見せてくれる。

パサートGTEの電気モーターは、ゴルフGTEに比べて7psアップの116psだが、車両重量が140kg重いため、その加速はゴルフGTEほどの鋭さはない。とはいうものの、パサートGTE単独で見れば、一般道はいうまでもなく、高速道路でも加速は爽快。さらに、静粛性が高いことも手伝って、バッテリーがあるかぎりはこのEモードで走りたいと思ってしまうほど気持ちがいい。

バッテリー残量が心細くなったところで、エンジンと電気モーターを使い分ける「ハイブリッドモード」を選択。ハイブリッドモードでも発進は電気モーターが担当し、ある程度スピードが上がるとエンジンが始動。ここからはエンジンが主役になるが、アクセルペダルを軽く踏み込むような場合でもこっそり電気モーターがアシストしてくれるので、1.4 TSI単体よりも力強く、かつ素早くトルクが立ち上がり、ガソリンの1.4 TSIモデルとは別次元の加速が楽しめるのだ。

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そして、自慢の「GTEモード」は、通常はハイブリッドモードと同じ動きを見せるが、アクセルペダルをより深く踏んだときのモーターのアシスト量が明らかに多く、さらに素早い加速が可能に。同時にステアリングが重くなったり、DCCがハードなセッティングに変わるため気分もスポーティになるが、バッテリーの消費量が激しく増えるわけでなく、バッテリーの残量によらず使えるのがうれしいところだ。

GTEモード以外でも多少硬めだが、乗り心地はおおむね快適。ただ、18インチタイヤを履くため、目地段差を越えたときなどにはショックを伝えてくることがある。なお、このGTEアドヴァンスの場合、GTEモード以外であれば"ドライビングプロファイル機構"でDCCの設定を調節することができるので、荒れた道ではコンフォート、高速ではスポーツ、といった使い分けも可能である。

気になる燃費は、ハイブリッドモードで都内の一般道を走ったときが15〜16km/L程度。高速道路を走ったときもほぼ同じレベル。一方、高速といっても制限速度が低めの首都高速を走ったときには20km/Lを超えることもあった。

大容量のバッテリーと電気モーターを手に入れたことによって、さらに力強い走りも、より上質な走りも可能になったパサートGTE。ふだんの移動距離が短く、電気だけでまにあうという人はもちろんだが、エキサイティングな走りを楽しみたいという人にも、このパサートはなかなか魅力的な1台だと思う。

(Text by S.Ubukata / Photos by H.Uemura)

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