180717-GarageVary-0.jpg「Reife」ブランドでフォルクスワーゲン/アウディ向けのエアロパーツを手がける「GARAGE VARY(ガレージ・ベリー)」。そのモノづくりのこだわりを、同社で広報を担当している安藤 純さんにうかがう。
GARAGE VARY(ガレージ・ベリー)は、2018年に創業30周年を迎える老舗エアロパーツメーカーだ。

当初から自動車メーカーやエアロパーツメーカーのOEM(相手先ブランド生産)を行っていたが、マツダ ロードスター用の「WINDING DANCER」を手はじめに、「VARY」「VARY VALIANT」「Reife」の自社ブランドを展開している。

「VARYは"変える"という意味の英語で、『クルマを変える』『乗り手の意識を変える』という気持ちが込められています」

そう話すのは、同社で広報を担当している安藤 純さんだ。

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「エアロパーツは必ずしも必要なパーツではありませんが、弊社の製品を装着することで『カッコよくなった』『イメージが変わった』『より個性的になった』といった満足感をクルマ好きに届けたいと思い、日々努力しています」(安藤さん)

4つのブランドのなかで最も新しいのが、2008年、フォルクスワーゲンとアウディ向けに立ち上げた「Reife」だ。

「それまで培ってきたノウハウを生かして、最高の技術や素材で輸入車マーケットに挑もうと考えました。フォルクスワーゲンやアウディなら国内のユーザーが多いというのも、作り手としては魅力的でした」(安藤さん)

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GARAGE VARYが世に送り出す商品のなかで、とくに人気が高いのが、フロントリップスポイラーだ。

「初めてエアロパーツを装着するという人には、きっかけになるパーツですし、いろいろやってきた人も『結局はリップだよね』といわれるほど幅広い人気を集めています。手軽に装着できるものですが、変わったというインパクトが十分に得られるよう"シンプルでカッコいい"商品をつくっています。シンプルといっても簡単という意味ではなく、限られた枠の中でデザインやラインを工夫することで、もともとのクルマの良さを生かしながら、それを延長するようなかたちで個性を加えています」(安藤さん)

下の写真は、フォルクスワーゲン ゴルフGTI(7.5)にフロントリップスポイラー(綾織カーボン)を装着したときのもの。ゴルフGTIが持つ精悍なイメージをさらに際立たせているのがわかるだろう。

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ところで、同社のエアロパーツには、FRP製、カーボン製、そしてウレタン製がある。FRPとカーボン製のエアロパーツは、"ハンドレイアップ"という製法が用いられる。下の写真は、アウディS1用のフロントリップスポイラー(カーボン)をつくっているところだ。

あらかじめゲルコートを吹いた型に、カットしたカーボンクロスを貼り込む。これがエアロパーツの表面部分になるため、織り目が美しくつながるよう細心の注意が払われている。

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この上に樹脂を塗り、今度はガラスクロス(FRP=繊維強化プラスチック)を重ねることで、補強を行う。カーボン製品ではカーボンクロス1枚とガラスクロス1枚の構成。FRP製エアロパーツは、カーボンクロスの代わりに複数のガラスクロスで構成されたもので、基本的には同じようにつくられる。

下の写真は、ローラーをあててエアを抜きながら、余分な樹脂を取り除いているところ。余分な樹脂が残っていると、そのぶんカーボンが奥まって見えたり、白く濁って見えたりするのだという。

「せっかくのカーボン製品ですから、カーボンがきれいに見えるよう、心がけています」とは安藤さん。美しく仕上がるかどうか、まさに腕の見せどころである。

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ハンドレイアップの作業が終わったパーツは時間をおいて、硬化後に型から取りだして、磨きの工程に。下の写真はいわゆる"バフがけ"を行っているところで、ツヤツヤの仕上がりに。

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なお、カーボン製パーツはクリア塗装が施されているわけではないので、この美しさを長く保ちたければ、クリア塗装を施したほうがいいそうだ。

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一方、こちらの写真(下)はウレタン製エアロパーツをつくる様子。型に硬質ポリウレタン樹脂の原液を流し込む。すべて手作業のFRP/カーボンに比べると生産性が高く、そのぶん価格を抑えられるのが特徴だ。また、FRP/カーボンと異なり、エッジを効かせたデザインが可能というのも、ウレタン製エアロパーツのアドバンテージだ。

さらにウレタン製エアロパーツは柔軟性があるため、段差などで当ててしまっても割れにくいという特性があるが、万一割れてしまった場合は補修ができない。その点、FRPは修理ができるというメリットがある。

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そしてカーボン製エアロパーツは、なんといってもその見栄えの良さ、存在感で選ばれている。

ちなみに、GARAGE VARYのカーボン製品は"ウェットカーボン"と呼ばれるもの。レーシングカーのボディやシャシーなどに使われる"ドライカーボン"は、使用する樹脂などが異なり、また、オートクレーブ(大型圧力装置)により高温、高圧で、カーボン繊維を型に密着させて成型することなどで、ウェットカーボンよりもさらに強度が高い仕上がりとなる。

ただ、大がかりな設備が必要となるため、当然のことながら価格が高く、コンマ1秒を争うレースの世界ならともかく、ドレスアップが目的であればそこまでの強度は不要ともいえる。総合的に見ればウェットカーボンのほうが、市販車向けエアロパーツには適しているのだ。

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GARAGE VARYではカーボン製エアロパーツを独自の手法でさらに進化させたいと考えている。

「いままでカーボンというとフルカーボンでしたが、私どもにしかできない方法でウレタンとカーボンのハイブリッド製品を開発しています。ベースをウレタンにして、それにカーボンパーツをあとから貼り付ける形です。これなら、ウレタンでしか表現できないデザイン性を生かしつつ、カーボンの存在感をプラスしたものができる。つまり、ウレタンとカーボンのいいとこ取りをした製品です。しかも価格が抑えられるので、ドレスアップの幅が広がると期待しています」(安藤さん)

手はじめにマツダCX-8用のエアロパーツを製品化する予定だが、その後、フォルクスワーゲン/アウディ向けのReifeにもこの製法を使った商品が追加される予定だ。

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「製法にかかわらず、あくまで目指しているのは"シンプルでカッコよく"。オリジナルのデザインに馴染んで違和感がない、知らない人が見たら『何も付いてないでしょう?』といわれるのが、われわれにとっては最高の褒め言葉です」(安藤さん)

これからどんな商品が登場するのか、GARAGE VARYの今後の展開が楽しみである。

(Text by Satoshi Ubukata)

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