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Up! Liteとニュースモールファミリー
091210vas002.jpgニュースモールファミリーがいよいよ現実味を増してきた。フォルクスワーゲンが12月4日からスタートしたロサンゼルスショーで、ハイブリッドのコンセプト"Up! Lite"をデビューさせたことは速報でお伝えした。このモデル、プレスリリースのなかでも、コンポーネンツの多くが2011年末に販売されるというニュースモールファミリーと共通するとしていて、その内容は非常に興味深い。

そのコンセプトは、市街地走行、通勤、そしてロングドライブにおいても、明らかに安く、エコフレンドリーな性能を実現する、多目的なクルマというもの。要するに、いま一番求められている実用的なベーシックだ。使用が都市に限定されるものではない。

091210vas003.jpg>ニュースモールファミリーというプロジェクトの存在が明らかになったのは、2007年のフランクフルトショーで、RRレイアウトの4シーター・シティコミューターとして"Up!"が登場した。そして直後の東京モーターショーで"space up!"、さらにロサンゼルスショーで燃料電池車"space up! blue"と、たった2カ月の間に3台ものコンセプトを登場させた。もちろん、これらは将来の可能性を示したものではあったが、どちらかといえば、デザイン部門を率いることになったウォルター・デ・シルヴァの新しいデザインフィロソフィーを語るためのコンセプトであったようだ。

091210vas004.jpgというのは、今年のフランクフルトショーに登場した電気自動車"E-Up!"では、既存テクノロジーをクルマを補完する市街地用のクルマという割り切った考え方となって、FFレイアウトのかなり現実に即したものとなったからだ。そして、この"Up! Lite"は、燃料効率に優れた4シーターハイブリッド車と、きわめて具体的にニュースモールファミリーの姿といったものを示唆する。もちろん、FFレイアウトを持つ。

Up! Liteは、「世界でもっとも燃料効率に優れた4シーター」を標榜する。100㎞走行当たりの消費燃料量はわずか2.44リッター。なんとリッター当たり41㎞も走る。クラスが異なるので、単純には比較できないが、プリウスの38.0㎞/Lを上回る。これを実現しているのが、2気筒0.8LのTDIに電気モーターを組み合わせたパワートレインと7速DSG、それに超高張力鋼板、アルミニウム、カーボンコンポジットまで使った超軽量ボディだ。

排気量800ccの2気筒エンジンは、ゴルフやパサートのブルーモーションに搭載する1.6TDIをベースにしたもので、今年のフランクフルトショーに登場したL1コンセプトカーに使われていたものと同じ。コモンレール噴射方式で静かかつ振動が少ないとされるこのエンジンの最高出力は38kW/51ps(4000rpm)で、1800rpmから2250rpmの間で最大トルク120Nm(12.0㎏ーm)を発生。重量は55㎏に過ぎないという。これをサポートするのが、"パルススタートモジュール"と呼ばれる、TDIと7速DSGの間に組み込まれる電気モーターで、10kWの出力と70Nmのトルクを持ち、TDIのスターターとしての役割、発電するオルタネーターの役割と回生エネルギーの変換装置としての役割など、様々な役割を果たす。TDIとこのパルススタートモジュールとの合計で、パワーは48kW/65psということになる。

091210vas007.jpgもちろん、燃費を稼ぐために運動エネルギーの活用にも積極的で、負荷なしで走行する状況、つまりドライバーがアクセルペダルを離し、慣性力に任せて走らせる場合、TDIを自動的に停止し、クルマの運動エネルギーを活用する。また、ドライバーがブレーキペダルを踏むと、電気モーターは運動エネルギーを回収し、リチウムイオンバッテリーに電力を蓄えるという具合。ドライバーがアクセルペダルを踏み、電気モーターが供給できる出力を超える需要が発生すると、TDIが再始動するというわけだ。

このクルマの燃料タンクの容量は、20リットルでしかない。それでも、このクルマは800㎞以上の連続走行が可能なのだ。

091210vas005.jpg全長3.84m、全高1.40m、全幅1.60mと、新型ポロよりもほんの少し全長が短く、全幅も狭いというディメンションを持つこのクルマは、しかし乾燥重量がわずか695㎏という、サイズから考えれば超軽量といえるボディ重量だ。ボディフレームは超高張力鋼板、フロアやバルクヘッド、それに車体骨格構造の上部はほとんどがアルミニウム、アクスルコンポーネンツにはマグネシウムまでも使われる。注目したいのは、ルーフにカーボンコンポジット、いわゆるCFRPを使っていることで、スチールの場合は9.5㎏に、アルミの場合は5.1㎏になるところを、3.3㎏に抑え込んでいることだ。そういえば、フランクフルトショーで、フォルクスワーゲンの技術陣は、CFRPを大量生産できる体制を整えたと語っていたが、早速、この近未来量産車のコンセプトに使ってきたようだ。

ちなみに、このハイブリッドパワートレインと超軽量ボディが生み出すパフォーマンスは、最高速度160㎞/h、0~100㎞/h加速は12.5秒。十二分だろう。

この"Up! Lite"には、まだまだユニークな点、新しい提案などがあり、次回、そのあたりを紹介していきたい。

(Text by M.OGURA)

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