160506-Oya-16-2.jpg第14回北京モーターショーが2016年4月25日から5月4日まで開催された。フォルクスワーゲンブランドは8つあるパビリオンのひとつ、西4号館に陣取っていた。「上海汽車」との合弁モデル、「第一汽車」との合弁車モデル、そして輸入モデルという構成である。
今回フォルクスワーゲンブランドのスターは、プラグインハイブリッドSUV「T-プライム・コンセプトGTE」だ。ハイパフォーマンスとダイナミズムをフォルクスワーゲンの新デザイン言語で表現したこのモデルは、今回第14回を迎えた北京ショーにおいて国内メディアから最も注目されたコンセプトカーの1台であった。

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参考までに写真でご覧いただくのは、中国民航の機内誌に掲載された「ボーラ」の広告。「家族」が強調されているのがわかる。

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プレスブリーフィングでは、フォルクスワーゲンブランドが4年先の2020年までに10モデルのSUVを中国市場に投入する計画も明らかにされた。それを発表するスクリーンの背後には、大胆にも「SUV offensive(SUV攻勢)」の文字が投影された。

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中国では新世代のトライバーを中心に、路上で見晴らしが良いSUVが人気だ。同時に関係者によると、まだ路面整備が整っていない郊外で、最低地上高の高いSUVはそれなりに実用的なのだという。ウォルフスブルクから来たあるエンジニアも筆者の質問に「中国では、まだまだSUVの伸びしろがある」と自信をもって答えた。

市販車では、上海フォルクスワーゲンが製造する「フィデオン」が中国初公開された。
昨2015年の上海ショーで公開した「GTEコンセプト」をベースに、先に3月のジュネーブでお披露目されたモデルである。中国市場専用・全長5m近いフルサイズセダンだ。

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パワートレインははV6の3.0TSI 4モーションと、直列4気筒2.0TSIが用意され、将来はプラグインハイブリッドも計画されている。フォルクスワーゲングループ内のベントレーのものに似たエア・サスペンションも装着されるという。今年第3四半期に発売の予定だ。

ちなみ、フィデオンとはローマ神話に登場する「フィデス」に由来する。

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ところで先ほどのドイツ人エンジニアは、「中国のユーザーは、自動運転にも大変興味があると観察している」とボクに証言する。背景にあるのは、都市部における慢性的な渋滞や、かなりアグレッシブなドライバーが多い交通環境から解放されたいという欲求がある。日本をはじめ、世界のメーカーが注目する自動運転は、中国での普及が意外にも早いのではないかと筆者は読んでいる。

フォルクスワーゲンブランドのブースでは、他にもMQBプラットフォームを使用した後席重視のビッグセダンである新型「マゴタン」も公開された。

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車格としては上からフェートン、フィデオン、マゴタンという位置づけだ。

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その傍らにジェッタの特別仕様が展示されているので、よく見れば、「中国での生産開始25周年記念仕様車」だった。フォルクスワーゲンがこの国における現地企業とのジョイントベンチャーのパイオニアであることを静かに物語る。

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参考までに一部報道によると、上海フォルクスワーゲンは近い将来、現在「上海大衆」と記されたバッジの「上海」の部分をおそらく企業名のアルファベット略表記である「SAIC」にするという説がある。

さて、おなじみのコンパニオンである。

率直にいって、フォルクスワーゲンブランドのコンパニオンは衣装といい人選といい、妖艶というより、真面目さが表れている。このいわばジャーマンムードは世界のショー共通で、ある意味ブランドアイデンティティが徹底している。

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ただし対応はといえば中国のフォルクスワーゲンブランドのブースに立つ彼女たちは、他国のショー以上に気さくだ。

その好例が、セールスコンサルタントとして車両説明に奮闘していた郭さんだ。中国ではなぜか高確率で韓国の人に間違えられるボクだが、郭さんはずばり「日本の方ですか?」と流暢な日本語で話しかけてきた。

160506-Oya-21.jpg聞けば北京で日本語を数年勉強しているという。この郭さん、翌日再びフォルクスワーゲンブランドのブースで見つけて「よく眠れましたか」とボクが挨拶すると、流暢な日本語でふたたび会話してくれた。いっぽうで中国語がなかなか上達しないボクが恥ずかしい。

激励のため「加油(ばんばって)!」とボクが声をかけると、彼女から元気に返ってきたのが最後の写真にある「がんばります」ポーズであった。
(文と写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)

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