150309-Geneva-00.jpg第85回ジュネーブ・モーターショーが3月5日から一般公開された。今回もフォルクスワーゲンブランドは、会場であるパレクスポ内・第2ホールで最も広いブース面積のもと展示を繰り広げている。
フォルクスワーゲンに対する各国自動車メディアの注目は、プレス関係者を招いたショー前夜祭「フォルクスワーゲングループナイト」から早くも始まった。

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その晩、スター的モデルの1台「フォルクスワーゲン スポーツクーペ・コンセプトGTE」が、産業用ロボットに操られて多様に動くディスプレイをバックに、華麗な姿を現した。

同車はフォルクスワーゲンの新世代デザイン言語を反映した4ドアクーペである。全長4870×全幅1865mm、ホイールベース2841mmで、現行CCの上という位置付けだ。

スポーツカー・デザインの中に、実用的な4ドア・ボディと489Lのラゲッジ・スペースを実現している。フォルクスワーゲンブランドのデザインを統括するK.ビショッフは、「従来のB/Cセグメントのクラシックなサルーンに代わるものを目指した」と解説する。

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パワーユニットは、ガソリンV6 TSIエンジンにリチウムイオン・バッテリー/モーター2基を組み合わせたプラグイン・ハイブリッドで、EVモードでの走行距離は50kmである。「エレクトリック・プロップシャフト」と称するシステムを介し、EVモードのみでの4WDも可能だ。

ナビゲーション・システムはドライバー自身の体調データもスキャンして、推奨ドライブルートに反映する。

次なる話題は、モデルチェンジされた2代目「トゥーラン」である。

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150309-Geneva-05.jpgMQBプラットフォームを採用した初のMPVだ。従来型より全長で130mm、ホイールベースで113mm延長されているにもかかわらず、車両重量はマイナス62kgを達成している。
なお、フォルクスワーゲン グループナイトの締めくくりには、同日午後にフォルクスワーゲン パサートが欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことも参加者の前で報告され、盛り上がった。

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一夜明けてショーの報道関係者公開日には、9月下旬に欧州発売予定の新型パサート・オールトラックも公開された。フルタイム4WDの「4MOTION」を標準装備し、オフロード走破性能を向上すべく最低地上高は27.5mm高められている。

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加えてフォルクスワーゲンブランドは、マイナーチェンジでインフォテインメント・システムなどが充実したシャラン、184psを誇るゴルフGTDエステート(ヴァリアント)、そして1L3気筒ガソリンエンジンで、1Lあたり走行距離23.2kmを実現したゴルフTSIブルーモーションも公開した。

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プレスデイには、フォルクスワーゲングループのパワートレイン開発専務で、フォルクスワーゲンブランド取締役でもあるハインツ・ヤーコブ・ノイサー氏に話を聞くことができた。

ノイサー氏は、近未来のフォルクスワーゲンにおける5つの重点ポイントとして「MQBプラットフォームおよび高張力鋼板の使用による軽量化、燃費、電動化、安全性向上、自動運転」を挙げる。

2輪駆動のSUVやクロスオーバーが増えるなか、フォルクスワーゲンが4モーションに注力してゆく理由については、「氷結路等での安全性を考慮した場合、最善である」と語る。MQBに関しては絶え間ない変革と同時に、大量生産によるコスト低減をさらに進めるという。

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「ただしMQBは、コスト低減で利益を出すことが最終目的ではありません」とノイサー氏は強調する。そしてMQBが単なるシャシー開発ではなく、重要な他ファクターを実現可能にする包括的な戦略、名付けてMQBバスケットであることを強調。「プラットフォーム共有でコストを抑制した分を、最先端の安全システムやインフォテイメントの充実にかけるのが、フォルクスワーゲンの姿勢です」と語った。

彼によれば、その成果の最新例が新型パサートであり、「さまざまな内容充実を図りながら、価格据え置きが実現したのです」と付け加えた。なお、ノイサー氏によると、数年後に登場するフォルクスワーゲンの自動運転車もMQBがベースとなるという。

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イタリア人に囲まれてジョークに満ちた毎日を送る筆者は、グッズコーナーで販売されている、熱烈ファンの間でおなじみのフォルクスワーゲンタイプ2風子供テントを思い出し、「将来はあれもMQBベースに?」などというジョークが口に出そうになった。

だが、真剣に語るドイツの敏腕エンジニアを前に、心の中でシティ・エマーシェンシーブレーキが作動したのであった。

(文と写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)

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