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Author:大矢アキオ (Akio Lorenzo OYA)

イタリアコラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒業。自動車誌『SUPER CG』編集記者を経てトスカーナ州シエナ在住。『イタリア発シアワセの秘密-笑って!愛して!トスカーナの平日』(二玄社)ほか著書多数。NHK『ラジオ深夜便』現地リポーターとしても十年以上にわたり活躍中で、老若男女犬猫問わず幅広いファンがいる。

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あるイタリア・サラリーマンのゴルフ・カブリオ物語
【イタリア直送 大矢アキオのかぶと虫! ビートル! マッジョリーノ!】

アルベルト・ロベージさんは1967年生まれの47歳。日ごろは電気・コンピューター関係の会社に勤めている。彼の愛車は1982年フォルクスワーゲン・ゴルフカブリオGLである。

「4年前、修理工場の片隅に放置されていたのを見つけたんだ」

他のクルマより個性的だったことから、つい手に入れてしまったという。オープン仕様のボディワークはカルマン社によるものだが、ジウジアーロによるベースモデルのシャープさは見事に継承されている。

およそ2年間不動状態で置かれていたにもかかわらず、大修理も要さずに路上復活できたのは、さすがフォルクスワーゲンだった。

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インテリアも運転席シートこそ擦り切れて穴が開いていたが、ダッシュボードやドアトリムは、極めて良好な状態だった。アルベルトさんはリペイントを施し、幌はオランダの業者を通じてオリジナルを入手して付け替えた。

「以来通勤の足は、これ1台で済ませてきたよ!」

アルベルトさんは日々の通勤にも、この28年物のゴルフ・カブリオを愛用してきた。ヴァカンスに潮風を感じながらビーチサイドを走るのにも、ゴルフ・カブリオは最高の友となった。

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実は、現行モデルよりも燃費で劣る古いクルマとそこまで毎日をともにできたのには秘密があった。先代オーナーによってLPGガスタンクが後付けされていたのだ。

解説しておくと、これはLPG充填スタンド数が欧州トップクラスのイタリアでよくある改造で、ガソリン燃料タンクをそのままに、ガスタンクを追加するものだ。町の修理工場やLPG充填スタンドに頼むと、日本円にして20万円前後で取り付けてくれる。

タンクの定期点検が必要だったり、地下駐車場に入れないなどの制約はあるものの、同じ値段でガソリン車よりも8割長い走行距離を走れる。

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141218-Oya-03.jpg二酸化炭素の排出量が少ないため、車両流入規制が行われる日でも運転できる。充填所がないときは、普通にガソリンを入れて走ればよい。おかげで、アルベルトさんはカブリオ・ライフを十二分に楽しめた、というわけだ。
しかしこのたび彼は、その愛車を手放すことにした。実際ボクが彼に出会ったのは、イタリアのイモラにおける秋恒例のスワップミート「モストラ・スカンビオ」でのことだった。聞けば「エアコンがないクルマはイヤ!」という奥さんに抗しきれなかったのだそうである。「ちょっと古いクルマ趣味は、つらいよ」というのはイタリアでも同じだ。

アルベルトさんは、これまでお世話になったゴルフ・カブリオに新品タイヤを履かせて、新しいオーナーとの出会いを待っていた。彼のクルマへの慈しみに感動したボクは、最後の思い出にと、謹んで記念写真を撮ってあげたのであった。

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ちなみに、スワップミート会場での希望価格は4500ユーロ(約66万円)。幸いドイツからの来場客がそのコンディションに興味を示し、後日の交渉継続を約束してくれたという。

(文と写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)
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