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Author:小倉 正樹

1950年生まれ。伊藤忠オート、日刊自動車新聞社を経て自動車専門誌「LE VOLANT」編集部に。同誌編集長、「VW GOLF FAN」編集長を経てフリーに。

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ザ・ビートルはアメリカ車だ!
110711ogu001.jpg新しいビートル、ザ・ビートルが先の上海ショーで発表された。驚いたのはその変身ぶりだ。フォルクスワーゲンは「よりオリジナルのデザインに近づけた」というものの、オグラの目には、アメリカ人が考えるビートルのイメージを具体化したようなものと映ったからだ。うまいな、とも思ったのである。

■チョップドトップのビートル!?

従来モデルであるニュービートルのアイデアは、カリフォルニアのデザインセンターで生まれたとされる。それは'94年のデトロイトショーで"コンセプト1"という形になって表れ、それが非常に好評だったため、フォルクスワーゲンは生産化を決める。'95年の東京モーターショーには当時まだ未発表だったゴルフ4のプラットフォームを使ったほぼ量産型に近いモデルが展示するなど、市販に向けて着々と準備を進めていることをアピール。実際に、メキシコの工場で生産がスタートしたのは'98年のことだ。

110711ogu002.jpgニュービートルが日本でも好評を博したのは、ご存知の通り。タイプ1をモチーフとしたレトロモダンなデザインは、フレッシュな感覚で、強い存在感を放っていた。横から見ると、大きな円弧の前後に小さな円弧をつけた記号のような単純明快さに加えて、チワワのような焦点の定まらない(?)、可愛いフロントフェイスもあって、とりわけ女性に厚い支持を得た。

ただ、デザイン優先であったために、使い勝手の面で犠牲になった部分も少なくない。その最たるものは見切りの悪さで、フェンダーが見えないばかりか、ダッシュボードの奥行きがありすぎて、ノーズ先端の位置が感覚的につかみづらいなど、ボディサイズの割に取り回しが悪かった。そういう観点では、まったく女性に優しくなかったのだ。

新型ビートルのデザインも、おそらく、いやほぼ間違いなく、カリフォルニアのデザインセンターで練られたものだろう。というのは、このところ特にアメリカのスポーティレンジにあるクルマで顕著な特徴を新型ビートルも持つからだ。それは、ロワボディを厚くし、上に載るキャビン部を薄くするというもので、こうすると、一気にスポーティな印象が強まるとされる。マッスルカーのフォード・ムスタングやシボレー・カマロ、ダッジ・チャレンジャーはもちろん、セダンのクライスラー300Cまでもこの手法を用いている。

110711ogu003.jpgうまいな、と思う理由は、新型のザ・ビートルは、その昔アメリカで流行したタイプ1のチョップドトップも意識したようなフシがあるからだ。もちろん、かつてのチョップドトップほど極端ではないが、従来モデルのニュービートルに較べれば、結構チョップしているといえる。フォルクスワーゲン自らが生み出したものではないものの、タイプ1のチョップドトップは確かに広く認知されたムーブメントで、それはいまもアメリカ人に、その佳き時代を思い起こさせるキッカケになるとされる。実は、アメリカ人の深層心理に訴えかけるデザインなのだ。

明らかにデザイン優先で、その観点では潔くもあった従来モデルに比較すると、新型はかなり一般的なフォルムとなり、それはまた実用性が大幅に向上していることをうかがわせる。多分、従来モデルほど女性陣には受けないだろうが、その代わり男性陣に熱い視線を受ける可能性がある。従来モデルが売れたのは、極端にいえば、アメリカと日本だけとされ、合理を重んじるドイツではまったく売れなかったとのことだが、今度の新型はどうか。いずれにせよ、その動向が注目されるザ・ビートルだ。
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