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Author:小倉 正樹

1950年生まれ。伊藤忠オート、日刊自動車新聞社を経て自動車専門誌「LE VOLANT」編集部に。同誌編集長、「VW GOLF FAN」編集長を経てフリーに。

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奥能登へコーヒーを飲みに行く
100928ogu01.jpg以前から、FGXが完成したら、その記念イベントとして、東京から奥能登に、コーヒーを飲みに行くドライブを決行(?)しようと考えていた。目指すは、珠洲市の二三味(にざみ)珈琲だ。スタートしたのは、9月のある土曜日、早朝4時!


100928ogu08.jpg■奥能登のコーヒー屋さん

FGXについては、すでに本コラムにおいて"FGXストーリー"というタイトルでお伝えしている。ゴルフ2の最初期型であるGX型の旧き佳き佇まいを後期のRV型で気軽に楽しもうというのが、その基本的な考え方。6月には一応の完成を見ていたが、その後、スピニングのスタッフによってさらに改良が進められ、前後のシートはGX型のザックリした表皮を持つタイプになり、サスペンションはノーマルのスプリングとビルシュのブラックショックに変更されていた。よりホンモノのGX型に近くなっていたのだ。遠くに出かけてもよい体制が整ったというわけだ。

二三味珈琲の存在は、スピニングガレージのブログで知った。奥能登にあるコーヒー豆焙煎屋さんで、その焙煎工場はその昔、船小屋だったとのこと。またその女性オーナー、二三味葉子さんはゴルフ2を普段の足に使っているという話。なんで奥能登なのか、なんで船小屋なのか、なんでゴルフ2なのかなどなど、もしお会いできたなら聞いてみたいことがいっぱいあった。大体、名前が二三味ということもあって、その珈琲がただのコーヒーではないことを表しているようにも思えて、ともかく一度はそのコーヒーを味わってみたいと思っていた。

実は、今回の奥能登行きは、スピニングが車検を迎えた二三味珈琲のゴルフ2を取りに行く予定があるということで決まった。二三味珈琲はスピニングのお客様なのだ。キャリアで行くとのことで、それに同行する形。もし、FGXにトラブルが発生して止まってしまったとしても、キャリアがあるからダイジョーブということで、オグラもこれなら安心して行ける。スピニングの親心(?)というところか。

100928ogu02.jpg練馬から関越道に入り、上信越道、北陸道を経て、小矢部砺波JCTで能越道に乗り換えて、高岡で高速を降りる。ETC休日割引で、高速料金なんと1,800円! 高岡から160号線で七尾市に入り、能登道を使ってさらに北上。珠洲市の中心部を経て、能登半島の突端に近い木の浦海岸に到着したのは、午後2時だった。総距離、およそ620㎞。もちろん、走りっぱなしというわけではないが、10時間にも及ぶドライブだった。

100928ogu07.jpg■新旧の絶妙なミックス感覚

しかし、そうして長距離耐久ドライブをしてでも訪ねる価値はあった。まず、二三味珈琲の焙煎工房のある、この木の浦海岸のロケーションが実に素晴らしい。日本海に面していて、小さな湾を形作っている木の浦海岸は、とても穏やかな優しい表情を持っていた。砂浜の脇には小島も控えていて、まさに風光明媚という表現がピッタリ。スケールがそう大きくはなく、こじんまりとしているところがまた好ましい。

二三味珈琲の焙煎工房は、市営木の浦海浜レストハウスの裏手にあった。本当に小さな船小屋だ。その船小屋から出てきたジーパン姿の小柄な女性が、オーナーの二三味葉子さんだった。

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葉子さんは、かつてパティシエを目指し地元の珠洲市を離れ、大阪で専門学校を卒業、東京の有名菓子店で修行を積む。「もちろん、ケーキ屋さんをやろうと思ってたんですけど、私ってパティシエには向いてないなと思い始めて・・・。お店で担当していたのは焼き菓子なんですね。焼いたら終わりです。でも、ほかのお菓子ってとても繊細じゃないですか。私にはできないな、なんてね。ハハハ」と、葉子さんはあっけらかんと話す。しかし、それでは終わらない。葉子さんはコーヒーに注目するのだ。ケーキにコーヒーはつきものだが、どちらかといえば、コーヒーは二の次。でも、美味しいコーヒーがあればさらにハーモニーがよくなるはずと、今度は有名珈琲工房でコーヒー豆の焙煎を学ぶことに。先の菓子店で4年、珈琲工房で4年。満を侍して平成13年、二三味珈琲をスタートさせる。

100928ogu04.jpg「この小屋、窓なんか落ちちゃってて、ボロボロ。でもね、おじいちゃんが残していてくれたものだし、コーヒー豆の焙煎釜が1台入ればいいんだから、これで十分。ここで始めようと決めたんです」と、葉子さん。なにせ、木の浦海岸は能登半島の奥の奥。通りすがりの人がコーヒー豆を買うなんてことはまずあり得ない。友人達には、「ここはいかんよ」といわれたそうだが、初期投資が少なくて済むというところにメリットを感じつつ、一方でこんな辺鄙なところにあるということがむしろ好材料になるかもしれないという予感もあって、開業を決めたそうだ。

起業は成功する。当初はほとんど細々と業販するだけだったそうだが、旅行雑誌に取り上げられたりして、次第に知名度が上がり、やがて全国を相手の直販が大きな割合を占めるようになる。そして、平成20年、珠洲市飯田町に念願のカフェ(Tel0768-82-7023)をオープンする。コチラはご覧の通り、明るくモダンな感覚。元酒卸業の倉庫を改造したそうで、その当時のままという部分も残した店全体の佇まいは、これもなかなかのもの。新しいものと古いものの絶妙なミックス感が心地よい。こうしたバランス感覚のあるアレンジは、どこかコーヒー豆の焙煎と共通するものがあるようにも思える。

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コーヒーは、この飯田町のカフェでいただいた。何種類もあるなかから、オグラがセレクトしたのは最もベーシックな二三味ブレンドだ。このブレンド、スッキリとして、しかし深い味わい。味というものに関して表現力が豊かでないのがちょっと歯痒いが、それはコーヒーの原点といったものを味わわせてくれたように感じた。つい2杯目を頼んでしまったといえば、その美味しさを少しは理解いただけるだろうか。

■家族の一員のようなゴルフ2

葉子さんちのゴルフ2は、幸せな生活を送っているようだ。木の浦海岸の船小屋で焙煎したコーヒー豆を飯田町のカフェに届けたり、ふたりの子供達を送ったり迎えたりの仕事を淡々とこなしている模様。大切にされている様子は、まるで家族の一員であるかのように、ゴルフ2を語ることでも分かる。「この前の冬、子供達を乗せていた時のことなんですけど、積雪で坂をなかなか上ることができなくて。そしたら、子供達がこのゴルフに『がんばれ、がんばれ』って応援するんですよ。私もちょっと必死になって、そこをなんとか登り切ることができたんですね。それで、みんなで『ヤッター』って喜んだりして」と、こんなほほえましい想い出を楽しそうに話してくれた。

オグラのなんでゴルフ2だったんですかという問いに、葉子さんは「どんなクルマかは全然知らなくて、この形がいいって、外観から入っていったんですね。特に、この後ろのテールランプあたりのデザインなんて他にはないし、いいと思いません?大好きなんです」と答えた。中古車雑誌でスピニングガレージを見つけ、そこに出ていたマニュアルのゴルフ2の購入を決める。なんと、実物を見ないで買ったそうだ!

どうやら、二三味葉子さんは、いいものを直感的に見抜く、鋭い感覚の持ち主のようだ。きっとずっと以前からそうだったに違いないが、それは修行のうちに磨かれてより確かなものとなって、コーヒー豆の焙煎時はもちろん、意識せずとも経営者として会社の方向性を決める時などにも、大いに役立っているよう。

100928ogu03.jpgFGX完成記念イベントとしてトライした今回の奥能登ドライブ。ともあれ、美味しいコーヒーが飲めたことはもちろん、なによりゴルフ2に乗る素敵な女性に会えたことは大収穫だった。また、東京からクルマで奥能登にコーヒーを飲みに行きそうだ。

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