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VW AG先進ディーゼルエンジン開発部長に聞く 「ディーゼルの未来は明るいか?」
180219-TDI interview-24.jpg「パサートTDIシリーズ」の日本発売にあわせて、フォルクスワーゲンAGの先進ディーゼルエンジン開発部長を務めるDr. エッケハルト・ポット氏が来日。フォルクスワーゲンのディーゼルエンジンについて話をうかがった。

2017年1月から先進ディーゼルエンジン開発部長を務めているポット氏に、フォルクスワーゲン グループのTDIエンジンや、ヨーロッパでのディーゼルエンジン車を取り巻く状況などを伺った。

フォルクスワーゲン グループの各ブランドが採用するTDIエンジンにはいくつもの種類があるが、直列4気筒エンジンはフォルクスワーゲンが、V型エンジンはアウディがそれぞれ開発を担当している。先日、日本で発売された「パサートTDI」シリーズに搭載される「EA288」ファミリーの2.0 TDIエンジンも、フォルクスワーゲンが開発したものだ。

その特徴は何だろうか?

「全般的なレイアウトをフォルクスワーゲンが独自に設計しています。さらに、ターボチャージャーをフォルクスワーゲン独自の仕様にしたり、燃焼プロセスを独自の設計にしたり、水冷のインテークマニホールドとターボを一体化したり。エンジンとDSGとの最適化も行いました。これにより、CO2(二酸化炭素)や有害物質の低減を図っています。コンパクトな仕上がりも特徴のひとつです。フォルクスワーゲンのTDIは、運転すれば常にフォルクスワーゲンらしさが感じられるはずですよ」(ポット氏)

180219-TDI interview-01.jpg
日本導入にあたり、特別なチューニングなどを行ったのだろうか?

「ヨーロッパ仕様と日本仕様とは、ハードウェアもセッティングも同じです。ですから、もしも日本市場でフォルクスワーゲンのディーゼル車の需要が急激に増えたとしても、供給を増やすのは難しくありません」

日本でTDIエンジンに乗るメリットは何だろうか?

「TDIは低速トルクが豊かなので、都市部の渋滞の多い道路で快適に運転できると思います。また、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに対して、実燃費が20%良いというデータがありますので、走行距離が多い人にはメリットがあります。年間の走行距離が短い人には、ディーゼルエンジンよりも良い選択肢があるとは思いますが」

高速だけでなく、都市の一般道でもメリットがあるというのがポット氏の主張である。ただ、一般道ではディーゼルエンジン特有のノイズが目立つことも。

「ここ数年でフォルクスワーゲンのTDIはエンジン音が大幅に改善しました。現行のTDIエンジンは、これまで開発してきたなかで最も静粛性が高いものになっています。アイドリング時のエンジン音が大きいことは理解していますので、アイドリングストップシステムの改善も行ってきました。できるかぎり静かなエンジンをつくる努力は続けていますが、ガソリンと同じくらいに静かだけれども燃費もガソリンと同じくらいになってしまったら、ディーゼルをつくる意味はないでしょう?」


ところで、ヨーロッパではディーゼルエンジン車の比率が高いと聞くが、フォルクスワーゲンの場合はどのくらいなのだろう?

「ゴルフの約45%、パサートの約70%がディーゼルエンジン車です」

ゴルフとパサートに大きな開きがあるのはなぜか?

「ゴルフは個人のお客様が多く、一方、パサートはビジネス客が多いのですが、その違いが数字に現れています。いまドイツでは、個人のお客様のあいだでディーゼル車のシェアが減っているのです」

それは、例の排ガス検査不正問題、いわゆる"ディーゼルゲート"の影響だろうか?

「販売に対するディーゼルゲートの影響は短期間のものでした。ヨーロッパにおける販売全体を見ると2013年から増加を続けています。ただ、ディーゼル車の需要は減っています。個人のお客様がディーゼルエンジン車を買い控えているからです」

ドイツには、一定の環境基準を満たさないと自動車の市街地への進入を規制する「環境ゾーン」がある。この規制がさらに強化されるという動きがあり、そうなると環境ゾーン内にディーゼル車の乗り入れができなくなるという心配から、個人客がディーゼルエンジン車を買い控えているというのだ。

「あと数週間で新しい独政府が立ち上がりますが、早期に議論を決着させてほしいものです」

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排ガス規制強化の動きも見過ごすわけにはいかない。ヨーロッパでは、EURO6bが2017年からEURO6d-TEMPへ、そして、近い将来にはより厳しいEURO6dへと規制が強化される予定。その先にはさらに厳しいEURO7があるという。

「それに対応するのが私の役割でもあります。現時点ではどの程度厳しい規制になるのかは一切明らかにされていませんが、フォルクスワーゲンとしては、EURO6dの半分という数字を想定して開発を進めており、技術的にはEURO7への対応は可能と思います。エンジンから排出される有害物質を低減するとともに、排ガスの後処理の最適化とを組み合わせるアプローチになります」

想定以上に厳しい規制になった場合、フォルクスワーゲンがTDIを諦めることはあるのだろうか?

「いいえ、それは考えられません。ヨーロッパ市場におけるディーゼルのシェアは非常に大きいし、また、もしディーゼルが禁止されれば、CO2低減の目標実現がいま以上に難しくなってしまいます。環境を考え、常に最も良い技術を世に出していくことが大切なのです」

フォルクワーゲンにとってTDIエンジンは、この先も重要な役割を果たしていくだろう。

「ディーゼルエンジンの黄金時代は過去ではなく未来にあると思います」

EVやPHEVに注目が集まるなか、TDIエンジンの進化は止まるところを知らないようだ。

(Text by S.Ubukata / Photos by S.Ubukata, VGJ)
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