090406ITT003.jpgQ:ディーラー推奨の15,000km交換不要のオイルを使用しています。高回転で走行する場合があるのですが、15,000kmまで交換しなくても問題ないでのでしょうか?
A:エンジンオイルの交換時期については、フォルクスワーゲン、アウディユーザーの多くの方が戸惑いを持たれいる懸案だと思います。「本当に15,000kmも交換しなくて大丈夫なの?」車好きの方なら当然抱く疑問です。

090406ITT001.jpg4~5年ほど前までは新車で購入したら1,000km点検(初回点検)でエンジンオイルとフィルターを交換。その後は3,000~5,000km毎に交換するというのが一般的で、国産、外車を問わず販売ディーラーにおいても推奨するメンテナンスメニューの定番でした。ところが、「VW504規格」というロングライフエンジンオイルの登場でその対応は一変することになります。新車より15,000kmまでエンジンオイル交換は不要という内容です。その理由は次のようなものです。「VW504規格100%化学合成オイルは、耐久性に優れ、劣化が極めて少ないため初期性能を長期間維持でき、通常の約3倍から5倍の長い間隔でエンジンオイルの交換を可能とした。」

090406ITT002.jpgエンジンオイル交換の出費を好ましく思われていないユーザーにとっては、非常にありがたいエンジンオイルの登場です。しかし、これだけの長期間を何の点検もしなくて良いというものではありませんので、誤解はしないで下さい。エンジンオイルの「補充」を行うことが前提なんです。実は、フォルクスワーゲン、アウディのエンジンは車が正常な状態でも、エンジンオイルは1,000km走行毎に約0.3~0.5L程度減少します。車種やエンジン型式、使用方法によっても実際に減る量は異なりますが、オーナズマニュアル(取扱説明書)にも記載されている内容です。減ってしまう理由は、エンジン内部でミスト状になったエンジンオイルはブローバイガスと一緒に燃焼するなどして徐々に減ってしまうのです。つまり、適切なエンジンオイルの補充を繰り返すことでエンジンオイルの基本性能を回復し性能を良好な状態に保ちながら長期間使用することが可能になったわけです。

090406ITT005.jpgVW504規格が登場した背景には、「環境問題」が大きく係わっています。オイルの消費量を減らすこと、つまりは廃棄オイルを減らすことが目的です。世界的な企業であるフォルクスワーゲン、アウディは、資源のリサイクル以外にも環境保護に配慮して いるということですね。環境保護を優先する観点から見れば、エンジンの内部が多少汚れても、エンジンオイルが適量入っていれば致命的な故障の可能性は低いという見解だと思います。また、新車で購入したユーザーの平均的な使用期間を4~5年、走行距離を4~7万キロと考えれば大きな問題に至る可能性も低いでしょう。ユーザーの立場から見ても保証期間内にメーカーの推奨する使用方法で壊れた場合のリスクは少ないといえます。

090406ITT004.jpg車をある一定期間の「足」として考えるならば非常に合理的ですし、地球にも経済的にも優しい話しです。しかし、車を「愛車」と称するオーナーにとっては、オイル交換は車を大事にしている証拠のようなものです。自身が所有する間は気持ちよくベストな状態で乗りたいし、不安を抱きながら乗りたくないというユーザーの気持ちは良く分かります。当社においても自主的に3,000~5,000km毎に交換されるユーザーはたくさんいらっしゃいます。私たちメカニックの立場から見れば、100%化学合成の高性能オイルであっても、補充による長期間の使用は確実にエンジン内部にスラッジを付着させる原因です。また、ターボエンジンの場合であれば細いオイル供給パイプの内部にもスラッジが付着し供給不良を誘発し焼き付きなどの原因になり危険でもあります。エンジン側の観点から見れば、エンジンオイルを定期的に交換することにデメリットは無いのです。

090406ITT007.jpg私たちのようなショップにおいてもVW規格に適合した「承認オイル」を使用してエンジンオイル交換を行っています。やっぱりエンジンオイル交換は行いたいけど購入元のディーラーでは対応してもらえない方や定期的にオイル交換を行いたいと考えている方は、VW規格の「承認オイル」取扱いショップに相談してみてはいかがでしょうか。

この内容を見て不安になってしまったという方は、エンジンオイルの量点検をご自身でも行ってみてください。メーター内に警告灯が点灯するまで放置していてはエンジン内部の汚れは進行しますし燃費だって悪くなります。内部の汚れは直接見ることは出来ませんが、簡単にチェックする方法はあります。オイルフィラーキャップを外して裏側の状態を見て下さい。白い布などで拭き取ってみて焦げ茶色の粕のような付着物がスラッジです。そのような汚れがひどい場合、エンジン内部にも堆積しています。

正規ディーラー推奨の15,000km交換不要でご使用される場合は、メーカーの推奨する「適切なオイルの補充」を最低限守って、より良いコンディションでカーライフを楽しんでいただければと思います。

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